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LTspiceでOPアンプの特性を調べてみる(5)コンデンサの役割 その2

コンデンサの使い分けと周波数特性

 コンデンサは手元に並べるだけで次に示すように多くの種類があります。左から電解コンデンサ、フィルム・コンデンサ、メタライズド・フィルム・コンデンサ、積層セラミック・コンデンサ、セラミック・コンデンサです。

電解コンデンサ
 電解コンデンサの多くは電源回路で用いられています。一方オーディオ回路でも多く用いられており、写真に示したものはオーディオ回路用に開発されたもので、秋月電子通商などで入手することができます。ACカップリングの入力コンデンサ、出力コンデンサには、このオーディオ用に開発された電解コンデンサが推奨されています。

◆フィルム・コンデンサ
 1μF以下の容量で10MHz以下の領域では、このフィルム・コンデンサを利用します。また時定数回路にも利用します。

◆セラミック・コンデンサ
 高周波特性がよいコンデンサです。カップリング・コンデンサに電解コンデンサと並列に接続し、高周波特性のよくない電解コンデンサをカバーしています。

電解コンデンサと積層セラミック・コンデンサを比較
 C1の入力コンデンサを電解コンデンサ(右側の回路)と積層セラミック・コンデンサ(左側の回路)に設定したものを比較してみました。

AC解析の結果
 AC解析の結果については差は認められませんでした。

  • 電解コンデンサは、NichiconのUPRC100MAHでRserが2.8Ω
  • 積層セラミック・コンデンサは、KEMETのC1206C106K9RACでRserは0.005Ω


 シリアル抵抗Rserには差があるように見えますが、テスト回路ではR2の入力抵抗が3.3kΩと十分大きな値で、Rserの差は結果に表れていないようです。

出力波形のFFTを比べてみる
 過渡特性のシミュレーションで得た出力波形のフーリエ解析の結果をみました。上段の左側のFFTの結果はVoltageの出力で、このアンプの入力信号にあたります。上段の右側は、電解コンデンサの回路の出力波形です。
 中段のグラフは右側が電解コンデンサの回路で、左側は積層セラミック・コンデンサの回路で、目視では区別がつきません。

各メーカ提供のSPICEデータ
 Nichicon、日本ケミコンはPSPICE用のデータを用意しています。ムラタはLTSPICE用のデータを用意しています。今回はNichiconのデータをもとにシミュレーションします
 120μFの容量のアルミニウム固体電解コンデンサPCF1A121MCLのSPICEデータを、LTspiceでシミュレーションします。提供されるモデルは7素子モデルで、具体的な回路は次に示すようになります。コンデンサに直列に接続されているコイルL1、抵抗R1と並列に接続されているC1、C2、C3のコンデンサ、そのコンデンサを接続するR2、R3の抵抗で構成されています。各構成要素L、R、Cの値はダウンロードしたデータの値をセットしました。

 このコンデンサとR4の抵抗でハイカット・フィルタを作り、AC解析で周波数特性を調べました。

  • 1kHzくらいまでは、Cのインピーダンス減少が進む
  • 1kHzから1MHzくらいまでは抵抗分のインピーダンスが主要な部分となり周波数の影響を受けず、この期間フラットになる
  • 1MHz以上の周波数ではL1のインダクタンスの影響が主要な部分となり、インピーダンスが上昇



 次回、ムラタのLTspice用のデータをダウンロードし、特性を確かめます。


(2016/6/30 V1.0)

<神崎康宏>


バックグラウンド

フーリエ解析;周期的な波はサイン波とコサイン波の組み合わせで表現できますが、高速に解析する手法の一つがFFTです。測定器はスペクトル・アナライザです。信号のダイナミック・レンジが狭くてもよい場合は、オシロスコープの機能の一つにFFTが用意されているので利用できます。

ACカップリング;交流結合。AC(交流)とDC(直流)成分の両方を含む信号からDC成分を除去する回路です。AC信号の中間が0Vになります。

アルミニウム固体電解コンデンサ;電解コンデンサの代表的な種類は「アルミ電解コンデンサ」です。電解液を使用しています。低いESR、長寿命などの要求に沿って開発されたのが、電解液を使わない固体電解コンデンサです。

AC解析で周波数特性;理想的なコンデンサであれば、連載第5回に掲載した最後の図のように、周波数が高くなると、どんどん利得(減衰度)は下がっていきます。

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