記事-  TOPに戻る

トランジスタの働きをLTspiceで調べる(7).measコマンドでAC解析

■ .measコマンドでAC解析の測定

 交流信号の場合は、波形の電圧と位相を測定することができます。前回の過渡解析を行った回路でAC解析を行います。

 AC解析は、回路図の画面を選択しているときのメニューバーのSimulateを選択して表示されるリストでのEdit Simulation Cmdをクリックして、次のウィンドウを表示し行います。このウィンドウでTransientのタグを選択すると、過渡解析、AC Analysisで周波数特性を調べるAC解析など、どのようなシミュレーションを行うか設定します。

●AC解析
 Type of sweepは、AC解析(AC Analysis)のためのAC信号周波数の変化のさせ方を指定します。通常は、次に示すオクターブ(Octave)を指定します。シミュレーション結果を示すグラフの周波数のメモリが対数目盛になります。
 Number of points per octaveは、周波数が1オクターブの間のステップ数を指定します。ここでは20を指定しました。
 Start frequencyは、シミュレーションに利用するAC信号の開始周波数を指定します。ここでは10Hzを指定します。
 Stop frequencyは、シミュレーションに利用するAC信号の終了周波数を指定します。ここでは100kHzを指定します。

 以上の設定を行うと、次に示すように過渡解析を設定する .tran 0.1が;tran 0.1と“;”が追加されコメントとなり、AC解析のコマンド、
 

  .ac oct 20 10 100k

   
が追加されます。

 Out0のポイントの周波数特性を示します。入力部のC1のコンデンサのため、周波数の低い領域では入力信号が通過せず、出力レベルが大きく下がっています。

 出力コンデンサC2の外側のoutのポイントの周波数特性を追加しました。outのポイントは、C1とC2の二つのコンデンサを通過するため、低域の周波数の減少はout0より大きくなっています。また位相も異なった結果になっています。
 この位相の状態をつぎの .meas コマンドで確認します。
   

   .meas ac out1k find v(out) 20 10 100k
   .meas ac out01k find v(out0) 20 10 100k

 out0、outは信号経路にコンデンサが挿入されているので、インピーダンスが増大する領域では位相が遅れます。out0はコンデンサが一つでoutはコンデンサ二つ分の遅れが生じるので、out0より大きく遅れます。

低域での減少の様子を調べる
 100Hzと50Hzの間でどの程度出力が減少するか、次に示す .measコマンドで調べます。


 エラー・リストに次に示すように各ポイントの測定結果が表示されます。

 out0では -6dB/oct 、out では -12dB/oct の減少割合となっています。

(2017/4/16 V1.0)

<神崎康宏>

トランジスタの働きをLTspiceで調べる

(1) 第1歩

(2) 実トランジスタ

(3) 2N4401

(4) エミッタ接地

(5) .measコマンド

(6) .measコマンドで測定

(7) .measコマンドでAC解析

(8) .measコマンドでDC解析

(9) 定電流回路