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CR回路の位相のずれを利用して発振回路を作る(2) 3段接続で位相を270°ずらす

3段接続で270°の位相のずれ
 CRによるハイカット・フィルタを3段接続したCR回路の位相が270°ずれることを確認します。

 

 この回路のAC解析の結果は次のようになります。位相は数kHz以上の周波数では270°に近くずれています。180°ずれる周波数は、グラフから読み取ると84Hzくらいです。



 .meas ac f2 when ph(V(out))=-179は、最初、位相の変位が-180°のときの周波数を求めるためwhen ph(V(out))=-180としました。しかし、位相の範囲が-180を超えるとエラーとなるので、-179に変更しました。

 

 拡大したグラフで、カーソルを-180°の位置に置いて周波数を見ると、グラフから位相の変位-180°、周波数84.73Hzであることが確認できました。

 V(out)の出力電圧のグラフの1kHzと2kHz交点を、次に示すようにマウスでドラッグしてオクターブ当たりの減衰率を確認します。オクターブ当たり18dBの減衰率となっています。これは1段のハイカット・フィルタがオクターブ当たり6dBの減衰率で、これが3段ですから3倍の18dBとなるためです。

 

 この回路の出力に、トランジスタを接続したときに回路の特性に影響を与えるか確認するためにAC解析を行います。シミュレーションの結果、グラフ上では差は確認できませんでした。

 

 .measで測定した結果で比較しても3桁以上の値は一致しているので、トランジスタを接続したことによる大きな特性の変化は認められませんでした。

 

発振回路とする
 トランジスタの出力をハイカット・フィルタの初段の入力に接続し発振回路とします。トランジスタの発振回路の確認は過渡解析で行います。回路図の修正の後、

  • 回路図のペインを選択
  • メニューバーのSimulate>Edit Simulation Cmdを選択
  • 次のEdit Simulation CommandでTransientのタグを選択
  • Stop timeに300mの値を設定

してシミュレーションを行いました。

 発振回路のシミュレーションの結果では、次に示すように120msくらいから発振が始まっています。

 

 発振周波数を確認するために波形のグラフをマウスでドラッグして拡大し、マウスで波長を測って周波数を求めると約122Hzになります。この周波数では位相の変位は約-200°となります。正帰還のフィードバックのために十分な変位となっています。

(2017/9/4 V1.0)

<神崎康宏>

バックグラウンド

ハイカット・フィルタ;ローパス・フィルタと同じです。

CR回路の位相のずれを利用して発振回路を作る

(1) -3dBの減衰

(2) 3段接続で位相を270°ずらす