フォノ・イコライザの組み立て (5) 電源フィルタの効果を観測

EMIフィルタは劇薬になるか

 前回調べたように、エネループを電源に使うとノイズに関して心配することはありません。日常使いでは12VのAC-DCアダプタを利用したいです。そこで、電源にフィルタ入れて効果を観測しました。

ムラタBNX016-1

 EMIフィルタとして販売されていて、とてもコンパクトです。グラウンドをしっかりとった実装をしないと効果が表れないと思いますが、空中配線で、アンプのDC入力側に挿入しました。

 観測するのは3か所です。OPアンプのB+/B-、FETの電源VD2です。FETの電源電圧は5.15V(VD1は5.08V)です。

 最初に、スペクトラム・アナライザで、1MHzの帯域を見ます。

◆電源ON B+

 フィルタがないとき

 フィルタがあるとき;51kHzのノイズの基本波は減衰できていませんが、高調波は10~20dBm減衰しています。

◆電源ON B-

 フィルタがないとき

 フィルタがあるとき;500.5kHzはLTC3261の発振周波数でしょうか。画面では-60dBmですが、マーカではそれほど高いレベルではありません。

◆電源ON VD2

 フィルタがないとき

 フィルタがあるとき;約350kHzを超えた周波数では、ノイズのレベルはノイズ・フロアに比べて+10dB程度まで抑えられています。

自作のコモン・モード・フィルタ

 秋月電子通商で購入したファインメット・コアのコモン・モード・コイル(現在は売り切れ)に、0.1uFのXコンと反対側に4700pFのYコンを取り付けました。Yコンの共通部分は、基板を取り付けているフレーム代わりの銅板へつないで、コモン・モード・ノイズを逃がし、ノイズは銅板上で渦電流となって熱に変わります。

◆電源ON B+

◆電源ON B-

◆電源ON VD2

◆電源ON VD2 Xコンを6.8uFに増やした

◆電源ON VD2 Xコンを6.8uFに、さらにYコンを1uFに増やした

 基本波以上のほとんどの高調波を取り除けました。インピーダンスの低い電源ラインに数uFのコンデンサを入れてもノイズはとれません。しかし、コモン・モード・コイルによって高い周波数はインピーダンスが高くなるために、コンデンサの利きがよくなります。

 LCフィルタには、コモン・モード・フィルタディファレンシャル・フィルタの2種類があります。ディファレンシャル・フィルタはノーマル・フィルタとも呼ばれます。電圧だけを見るとディファレンシャル・フィルタがよく利いていること観測できます。しかし、現代、空中からやってきたりするノイズはすべてコモン・モード・ノイズです。

 低い周波数のノイズは、トランジスタを使ったリプル・フィルタを使って取り除きます。