OPアンプの怪 その2 Cがあると何が変わるか(1)

コンデンサを追加すると(その1)

 前回の測定では、各チャネルのプローブは測定前に入力をショートして、0レベルを調整しました。今回は、波形自体がずれているようなので、波形発振器の出力レベルを0にしても、0からずれていたので、オフセットを調整しました。

1kHzの波形

 前回と同様に、入出力はほぼ重なっています。

R2に並列に100pFを入れる 1kHz

 立ち上がりの波形が少しなまっています。

R2に並列に100pFを入れる 10kHz

 前回の100kHz時のように立ち上がりが鈍っています。立ち上がりのタイミングは異なり、入力の立ち下がりと同じタイミングです。

 立ち上がりのタイミングは異なり、入力の立ち下がりと同じタイミングです。波形は似ていますが、この増幅後のくずれた波形は理由が異なるようです。



 このコンデンサを入れることで、このOPアンプの回路は1次ローパス・フィルタになります。別名、1次ハイカット・フィルタです。カットオフ周波数fcは、

fc = 1 / 2π C R
   = 1 / 2 * 3.14 * 100 * 10^-12 * 99 *10^3
   = 約 16kHz

 測定結果と一致します。しかし、非反転回路のローパス・フィルタ回路では、R2にコンデンサを入れた回路は紹介されていないようです。

 100pFが入っていないときの測定結果です。しかし、このコンデンサで、ローパス・フィルタが形成されていことは事実です。

 小さな容量、たとえば10pF程度は配線時に入ってしまうことがあり得るので、そういう場合、意図せずに帯域が狭くなります。

 逆に、GBWが広いとき、実際に増幅したい帯域を狭くしたいときに、コンデンサで意識的に制御することもあるでしょう。

反転回路で確認

 反転回路で特性をとりました。

1kHz

10kHz

10kHzに100pF

 周波数特性をとると、非反転とほぼ同じ15kHzがカットオフ周波数と読み取れます。

 位相の回り方は異なります

  • 非反転増幅回路では 40dBから0dBでは約116°で、発振する条件の180°まで余裕がある
  • 反転回路では約133°なので、余裕度は少ない

 反転回路でC=100pFがない状態の周波数特性です。非反転増幅回路とほぼ同じ特性が得られました。しかし、位相が180°回ると発振します。170°回っているので、発振寸前です。したがって、Cを利用して位相を調整すべきかもしれません。

 非反転回路と反転回路のどちらでも100倍の増幅回路は作れました。しかし、R2に並列にコンデンサが入ると、位相の変化に差が出ました。ほかになにか大きく異なることがあるのでしょうか。