ラズパイ4用アナログ電源の製作 Nch MOSFET ①回路の検討

 ラズパイ4用アナログ電源の製作の連載では、基準電圧はTL431、パワー・デバイスはトランジスタを使いました。フィードバック回路はありませんが、安定した出力電圧が得られました。ただし、パワー・トランジスタ単体では1A程度までしか制御できず、ダーリントン接続で電流増幅率を上げると、3Aは十分制御できました。

 新しい連載では、パワー・デバイスにNチャネルMOSFETを用います。MOSFETのほとんどがスイッチング用途ですが、リニア動作の領域を使います。そして、基準電圧は4.7Vのツェナー・ダイオードを使います。TL431に比べてノイズが大変小さいです。
 入力は12Vのスイッチング電源を利用します。スイッチング電源特有のノイズは、今回作るアナログ電源を通ることでクリアにできることを期待しています。

シミュレーションで動作を確認

 LTspiceでMOSFETはユニバーサルなモデルを設定すると、変な動作をしたので、IR社の適度な型番を選びました。OPアンプは古いですが、発表当時は性能の良かったOP27です。入力電圧は、少し変動が大きいと仮定しました。

 出力電圧は安定に見えますが、OPアンプの出力Vthが発振をしています。

 OP27のマイナス側の電源を0V、つまり単電源で動作させます。これも発振しています。

 入力の変動を小さくしました。発振は止まりましたが、Vthはすこし変動をしています。

レール・ツー・レールのOPアンプに変更

 SNS上で、出力が電源電圧まで振れない古いタイプのOPアンプを片電源で使うと発振するという情報を得たので、レール・ツー・レールのAD823に変更し、入力変動が大きい状態でシミュレーションしました。
 発振はしていないようです。

 AD823は少し古いOPアンプです。以降の実験では、最近秋月電子通商で扱い始めたADA4898-2を利用します。

  AD823 ADA4898-2
電源電圧[V] 3~+36 ±5±16
帯域幅[MHz] 16 65
ルーレート[V/μs] 22 50
出力 レール・ツー・レール レール・ツー・レール
オープン・ループ・ゲイン[dB] 92[100Hz]

63[100kHz]、グラフから推定103[100Hz]