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初心者のためのLTspice入門の入門(1)

無償!LTspiceの入手とインストール
 LTspiceはリニアテクノロジー社が無償で提供している、SPICEベースの回路シミュレータです。この回路シミュレータは無償で提供されているにも関わらず、ほかの回路シミュレータ評価版のような回路のノード数などの制限がなく、無制限の利用条件で提供されています。また、リニアテクノロジーの提供する豊富なデバイスの利用回路がシミュレータのサンプル例として提供されています。初心者でもいろんな回路のシミュレートを容易に体験できます。

リニアテクノロジーのデザインサポートのページにアクセス
 LTspiceをキーワードにしてインターネットのWeb検索を行うと「Linear Technology - デザイン・シミュレーション」が上位に表示されます。その項目をクリックすると、次に示すページが表示されます。このページのLTspiceIVの欄の「LTspice IV(Windows用)をダウンロード」をクリックしてダウンロード処理に入ることができます。このLTspiceのスタートガイドなど必要な情報入手することができます。

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 「LTspice IV(Windows用)をダウンロード」をクリックすると、次に示すようにMyLinearに登録してダウンロードするか、感謝なしにすぐダウンロードするか聞いてきます。筆者は感謝を示してからダウンロードしました。「No thanks, just download the software.」を選択してもまったく同じLTspiceがダウンロードできるので、どちらかを選んでください。

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MyLinearへログイン
 リニアテクノロジー社のホームページの右下には、MyLinearへのログイン・ボタンが用意されています。MyLinearにログインすると、次に示すようにログイン・ボタンにHelloとログイン者の名前が表示されます。

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 Mylinearにログインした状態で「No thanks, just download the software.」をクリックすると、何も聞かずにLTspiceのダウンロードを開始します。ダウンロードが完了すると、次に示すようにLTspiceIV.exeのファイルがダウンロードされます。ダウンロードするフォルダは任意のフォルダでかまいません。

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LTspiceIVのインストール
 LTspiceIVの実際のインストールはダウンロードしたLTspiceIV.exeをエクスプローラなどで表示し、マウスでダブルクリックなどして起動して行います。これら一連の作業は管理者の権限でPCにログオンして行います。
 LTspiceIV.exeを起動すると、設定によってセキュリティの警告のメッセージが表示されます。LTspiceのインストールに伴うメッセージであることを確認したら、インストールを認めて次に進みます。

ライセンスの同意とインストール先フォルダの確認
 実際のインストールに先立って、次に示すライセンスに同意することが要求されてきます。ライセンスに同意して次に進みます。デフォルトではインストール先のフォルダがC:\Program Files\LTC\LTspiceIV となっています。

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 ライセンス条件を受け入れるとしてAcceptのボタンをクリックすると次に示すようにBrowseボタン、Install Nowボタンが利用できるようになります。

Windows7以降のUACによるセキュリティの強化
 デフォルトのままでも管理者ログオンすれば、トランジスタなどのSPICEモデルの格納されているstandard.xxxファイルにモデルを追加するなどの利用方法の範囲ではあまりトラブルはありません。新たなモデルをlibファイルなどで追加したり、それらのファイルを編集するなどの作業を行う場合、Windows7以降導入されたUAC(ユーザー・アカウント・コントロール)によるセキュリティ強化の影響を受け、追加の書き込みを行って正常に作業が終わったように見えても更新されていないなどのトラブルに遭遇することがあります。
 それを避ける方法の一つとLTC以下のフォルダをProgram FilesのフォルダからC:\のルート・ディレクトリの下に配置することで、Program Filesのセキュリティのためのアクセス制限に伴うトラブルを避けることができます。

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 インストール先のディレクトリを変更する場合は、BrowsボタンをクリックしてC:\LTC\LTspiceIVと変更します。
 筆者はトラブルの発現を確認するためにデフォルトの状態でインストールします。インストールを開始すると途中UACに関する注意喚起のメッセージが表示されますが、OKで答えて次に進み間もなく「LTspice IV has been successfully installed」とインストールに成功したとのメッセージを表示します。

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 ダウンロードしたファイルのリリースの日付が2015年9月30日のもので、その後の84日間に追加更新されたファイルがあるか聞いてきます。デフォルトの「はい」で答えるとリニアテクノロジーのページへチェックのためアクセスします。

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 次のダイアログ・ボックスを表示して、チェックが完了します。

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 以上で、インストールを完了してLTspiceIVの初期画面が表示されます。更新ファイルのチェックは以後も行われます。

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 LTspiceIVの初期画面がこのウィンドウとなり、このウィンドウから必要な処理が行えます。

(2015/12/28 V1.0)

<神崎康宏>


バックグラウンド

SPICE;Simulation Program with Integrated Circuit Emphasisの頭文字で、スパイスと読む。電子回路のシミュレーションするソフトウェアで、回路設計には欠かせないツールとなっている。いろいろな会社から製品が出ていて、無償で使える評価版も入手できる。LTspiceは英語版のみだが、TINA-TIは日本語版がある。
 シミュレーションを行う回路などはネット・リストというテキストで記述される。現代のSPCIEは回路図エディタが利用できるので、ネット・リストを直接目にすることは少ない。
 SPICEは回路を設計してくれない。抵抗値を一定範囲で変化させたりして、求める特性が、設定内に入っているかをシミュレートするために使う。

LTspiceIV;リニア テクノロジー社 SPCIE バージョン4という名称と思われる。一つ前のバージョン3の時代から、広く使われている。Windows版とMac版があり、回路図エディタなどの使い勝手は異なる。

SPICEモデル;半導体メーカはデバイスを新規開発すると、SPICEデータを自社Webから提供することが多い。テキストなので、LTspiceのデバイス・データをメモ帳などで追加することができる。ただし、拡張子が.txtではないので、パソコンで拡張子を表示できるようにしておかないと、追加作業に失敗する。
 LTspiceのトランジスタは、Standard.bjtに収録されている。拡張子を表示しておかないでメモ帳で追加の作業を行うと、Standard.bjt.txtというファイルを作ってしまう。作業自体は終わっても、LTspiceからは認識されない。

連載 LTspice入門の入門

(1) LTspiceの入手とインストール
(2) LTspiceIVの起動
(3) LTspiceIVのシミュレーション手順
(4) 初めての回路入力 コンデンサと抵抗で回路図を作成する
(5) 初めてのシミュレーション AC解析
(6) グラフ表示を見やすくする方法
(7) 特性の変化を目視できる過渡特性のシミュレーション
(8) はじめての増幅回路シミュレート
(9) はじめての反転増幅器
(10) もうひとつの基本回路‥非反転増幅器
(11) オーディオ用に設計されたOPアンプOPA1622を利用する (1) SPICEモデルの入手
(12) オーディオ用に設計されたOPアンプOPA1622を利用する (2) .stepコマンドで負荷抵抗を変化