手探り トランジスタの増幅回路 ① 基本スペックを測る

 トランジスタの特性で一番重要なのが、ベース電圧Vb-コレクタ電流Ic特性です。小信号用トランジスタ2SC1815GRを使って、次の回路で測定しました。

 電流と電圧はテスタで測りました。

2SC1815GRのおもなスペック

  • コレクタ-ベース間電圧 Vcbo 60V
  • コレクタ電流 Ic 150mA
  • 直流電流増幅率 hFE 200~400
  • トランジション周波数 ft 80MHz
  • コレクタ損失 Pd 400mW

測定結果

 温度によって電流値は変化するので、自己発熱でどのくらい変化するかを測定しました。コレクタ電流44mAから測定をスタートさせました。自己発熱で温度が上がると電流が増えます。どんどん加速するのかと思っていましたが、数分で落ち着きました。

 トランジスタの温度が上がると電流が増えるのは、利用者側から見ればよくない特性です。何らかの方法で冷却するか、電流を少なくするかの方法工夫しないと、熱暴走して破壊されます。

拡大すると

 変化が激しい部分を拡大します。わかることは、次の2点です。

  • ベース電圧が0.56V以上でないとコレクタ電流は流れない=増幅はしない
  • ベース電圧が0.67V以上になると、コレクタ電流が急速に増えるので、扱いにくい

信号を入れて確かめる

 発振器は1kHz 100mVp-p 正弦波で、ベースに直接つないでいます。オシロスコープのCH1をつなぐことで、入力波形を観測します。CH2は負荷抵抗10kΩの両端につないでいます。I=E/Rなので、読み取った電圧はmAに換算できます。

 オシロスコープはAnalog Discovery 2です。プローブは差動になっているので、回路の中途半端な部分の電圧も測れます。

<直接>

<発振器オフセット500mV>

<発振器オフセット600mV>

<発振器オフセット700mV>

 <発振器オフセット600mV>の状態を、ベース電圧Vb-コレクタ電流Ic特性図に書き込みました。

 入力波形が出力電流に変換されています。グラフが線形ではなく指数関数のようになっているので、入力より大きな値の出力が得られているのかもしれません。

 入力の波形を10mV オフセット600mVとしたら、出力は正弦波になりました。

 発振器のオフセット電圧は、通常の入力信号では存在しないので、トランジスタのベースに入る電圧を、何らかの回路の工夫で600mV付近まで持ち上げる工夫が必要なことがわかります。