手探り トランジスタの増幅回路 ⑥ 電流帰還バイアス その3 コレクタ電流0.5mA
その1とその2は、コレクタ電流を1mAとなるように計算しました。
半分に減らします。
●コレクタ電流
基準としたエミッタ抵抗の部分から見ます。
コレクタ電流 Ic + ベース電流 Ibe = エミッタ抵抗R4の電圧降下分 Vr4 / 抵抗R4
ベース電流 Ibeはとても小さな電流なので省略します。
コレクタ電流 Ic = エミッタ抵抗R4の電圧降下分 Vr4 / 1kΩ
<コレクタ電流0.5mA>
前回の半分Ic=0.5mAにします。
エミッタ電圧Veは、0.5mA * 1k = 0.5V。それにVbe=0.6Vを加えたらベース電圧Vbになります。
Vb = 0.5 +0.6 = 1.1V
R2とR3を通して流れる電流は、ベース電流の10倍以上にするようです。
ベース電流は、コレクタ電流/hFE = 1mA/200=5uAです。よって50uA流します。
ベース電圧Vb=1.1Vなので、R3=1.1/50uA = 22kΩ R2=(5-1.1)/50uA=78kΩ
負荷抵抗の両端の電圧は中間の2.5Vが適切なので、VR1=2.5/0.5mA=5kΩ付近にします。
回路は右のようになりました。R2 は、78kに近い 82kΩにしました。左は前回の回路図です。
●入力信号 正弦波1kHz 100mVp-p
上の黄色が入力、下の青色が出力です。出力は、VoとVccの電圧を測っています。ピーク-ピークの電圧差は7.2Vなので、電流に換算すると、7.2/5k=1.44mAp-pになります。
前回、コレクタ電流を1mA流そうとして1.36mAp-pでした。それよりも増えています。
ボード線図を見ます。
入力はそのままでオシロスコープCH1、オシロスコープCH2をつないだ出力は、コレクタとGND間を測ります。
入力は-20dB、出力との差は約34dBあります。周波数帯域は、青色のラインが-3dB下がった付近とすれば、約1MHzと読み取れます。
前回、コレクタ電流を1mA流したときに比べると、利得は26.4dBが34dBと増えましたが、帯域は2~3MHzから1MHzへと狭くなりました。
●入力信号 正弦波1kHz 200mVp-p
入力レベルを上げました。上の黄色が入力、下の青色が出力です。出力は、VoとVccの電圧を測っています。
きれいな波形です。
●入力信号 正弦波1kHz 300mVp-p
入力レベルを上げました。スケールは、半分にしました。上の黄色が入力、下の青色が出力です。出力は、VoとVccの電圧を測っています。スケールを変更しました。
きれいな波形です。このときの電圧差は11Vp-pなので、11/5k=2.2mAp-pです。前回の同じ条件の時は、4.1mAp-pなので、増幅度は減少しています。
きれいな波形に見えますが、FFTで見ると、それなりに歪んでいることがわかります。
●入力信号 正弦波1kHz 400mVp-p
入力レベルを上げました。上の黄色が入力、下の青色が出力です。出力は、VoとVccの電圧を測っています。
きれいな波形です。
●入力信号 正弦波1kHz 500mVp-p
入力レベルを上げました。上の黄色が入力、下の青色が出力です。出力は、VoとVccの電圧を測っています。
上の部分が少し歪み始めています。
●入力信号 正弦波1kHz 600mVp-p
入力レベルを上げました。上の黄色が入力、下の青色が出力です。出力は、VoとVccの電圧を測っています。
上下の両方で歪み始めています。
●入力信号 正弦波1kHz 700mVp-p
入力レベルを上げました。より歪んでいます。
●入力信号 正弦波1kHz 800mVp-p
入力レベルを上げました。