手探り トランジスタの増幅回路 ⑦ 電流帰還バイアス その4 コレクタ電流0.5mA

 前回、負荷抵抗を2.5kΩから5kΩに変更したのは、コレクタ電流を0.5mAにしようとして、信号がない時にコレクタ電圧を電源電圧の半分の2.5Vとしようとしたためです。しかし、コレクタ電流は増え、1.44mAになっていました。

 コレクタ電圧を確認します。実験しているのは、右側の回路です。

入力信号 正弦波1kHz 100mVp-p

 上の黄色が入力、下の青色が出力です。出力は、VoとGND間の電圧を測っています。

  コレクタ電圧の中央値は2.9Vと読めます。

 ボリュームを回して、2.5Vにもっていきます。

  一度電源を落として、ボリュームの値を測りました。5.85kΩでした。

 CH2はコレクタと電源の間の電圧を読みように戻しました。波形を読みやすいところに移動します。

 電位差は8.5Vあるので、電流は8.5/5.85k=1.45mAp-pです。前回1.44mAp-pだったので、ほとんど変わっていません。

コレクタ電流を下げるには

 第1回で測定した基本特性です。

 コレクタ電流を減らすには、ベース電圧を低くすればよいことがわかります。

 CH1はコンデンサの前の入力電圧を見ていましたが、コンデンサの後ろ、つまりベース電圧を見るように接続を変更しました。

 黄色のCH1は、1.07V付近を中心の±100mVp-pの波形になっています。

 前回、ベース電圧Vbは1.1Vとなるように計算して、それに近い状態になっています。

 ベース電圧VbはR2とR3で電源電圧を分圧して作っています。Vbを下げるには、R3の値を低くすればよいので、22kΩの代わりに10kΩに差し替えました。

 ベース電圧Vbの中心は1.07Vから0.57Vになりました。出力波形は大変歪んでいます。電流は計算すると、0.74mAp-pでした。Vbが0.6Vを下回っているので、バイアスがかかっていない状態ですね。

 ばあたり的な実験ですが、R3を増やし、10+8.2=18.2kΩにしました。

  ベース電圧Vbの中心は0.94V、コレクタ電流は1.37mAp-pでした。少し減少しました。

 R3を、10+5.6=15.6kΩにしました。

  ベース電圧Vbの中心は0.84V、コレクタ電流は1.33mAp-pでした。さらに電流は減少しました。

 入力電流を300mV付近まで上げても見た目の波形はきれいでしたが、400mVでは波形の下側がひずみ始めました。

 ベース電圧を下げると、利用できる増幅能力を損なうことが確認できました。

 入力電圧が100mVのボード線図です。ゲインは約34dB、帯域は約1MHzです。

 前回1.36mAp-pのときの特性と変わりはありません。