はじめての電気とIoT (1) アマゾンで部品を調達

プログラミングが得意なWebデザイナが電気を扱いたいと思ったら

 プログラムのデバッグは、モジュール単位で動作の確認を行うことがありますが、LEDやモータを動かすためにI/O端子を自由に動かすにはデバイス(モジュール)の働きを把握することが必要です。回路図と実際の電子部品は様々な形状もあり、実際に触ってみて初めて納得できるものも少なくありません。電子部品はその一つ一つを見れば、単価は安価です。しかも、入手方法を工夫すれば、実験に必要なものはコーヒー1杯の費用で済むこともあります。

少量の電子部品の購入先

 電子工作で使う部品の購入場所を調べると、下記のショップがよく登場します。日本の電子部品メーカは小口の販売を行っていないので、数個単位で購入するときに便利です。どうしてもこのような国内のショップで入手できないときは、送料が高くなりますがDigi-keyやMouserなどが個人でも少量を購入できます。

  • 秋月電子通商
  • マルツエレック
  • 千石電商
  • 共立電子産業

 しかし、部品を購入しようと思ったとき、送料が必要です。部品代より高価になることがしばしばあります。そういうときには、下記のサイトなどで安価な送料を選べます。

  • ヤフーオークション
  • アマゾン
  • ebay.com

 ヤフーオークション(ヤフオク)とebayはオークション・サイトですが、ショップが出品しているので、普通に部品の購入ができます。アマゾンのAmazonマーケットプレイスでは、香港などから送料無料で部品が購入できます。ebayでも、送料無料(Free international shipping)のショップを探すことができます。

※1 オークションサイトでは、支払い方法を事前に登録しておくことが重要です。ebayではpaypalが一般的です。

※2 ヤフオクでは、落札後の連絡方法が複数あります。やり取りに慣れておかないと物は入手できません。

※3 香港や中国から送料無料の品物は、到着までに10日から2週間ほどかかります。

部品の多くを作っているのは中国

 一般的な電子部品の多くは中国や台湾などで作られます。大手の工場の品質管理は数十年前より格段に向上しています。香港などの会社で販売している部品は現地の価格ですから、次の二つのリスクを考慮すれば、たいへんリーズナブルです。

  • 部品が本物かどうか
  • 部品がその規格を満足しているかどうか

 入手を急ぐときは、秋月電子通商などから購入しましょう。

LEDを購入

 最近青色のLEDが量産されるようになったおかげで、光るもののほとんどがLEDに変わりつつあります。

 赤色と青色のLEDをアマゾンで購入します。

 青色のLEDの仕様(スペック)は次のように書かれています。

項目 数値 備考
人生の評価 100,000時間 明るさが半分になる時間(寿命)で、十分すぎるぐらいに長い
放出されたカラー ブルー 発光色は青色
サイズ(mm) 3ミリメートル 砲弾型で、直径3mm。小信号用では5mmとともによく使われる
レンズのカラー ブルー 透明の場合もある
ピン長さ 約18ミリメートル リード線の長さです。アノード側は長い
ピーク波長(nm) 395-405 青色の波長です。これより短いのは紫外線の領域
順方向電圧(V) 3.0-3.4 赤色などは1.7~2.2Vと低い。白色は青色と同じ電圧で、記号は Vf 
逆電流(UA) <=30  
光度標準IV(MCD) 1000(標準)〜1500(最大) 明るさの数値だが、データシートによって単位が異なるので、一概に比較できない
視野角 20〜25度 前方に対してどのくらい光が広がるかを表している。LED単独では狭いのが一般的
最大消費電力(PM) 80mW  
最大ピーク順電流(IFP) 75ミリアンペア  
最大連続順電流(IFM) 20ミリアンペア 通常の使用時に流せる電流。電流が増えるとより明るく光る傾向がある
リード半田付け温度 240度(<5秒)  
動作温度範囲 -25〜+85度  
防腐剤温度範囲 -30〜+100度 保存温度範囲


 注目するのは3か所です。

  • 発光色 青色
  • 順方向電圧(Vf) 3.0~3.4V
  • 連続順方向電流(If) 20mA

 マイコン(ArduinoやRaspberry Pi)のI/O端子にLEDをつなぐときは、電圧は3.3Vもしくは5.0V、電流は4mAから20mAです。このLEDは電流制限抵抗(後述)とともに利用します。

 発光色は固有の値なので、用途に合わせて購入します。

 順方向電圧は、流す電流や周囲温度、製造工場などによってわずかに異なりますが、計算するとき青色白色では代表値として3Vを使います。数年前まで赤色、黄色、緑色は1.7Vでしたが、材料などが変わってきて、2.0Vが多くなっているようです。

 順方向電流は、20mA以内なら1mAで使ってもかまいません。しかし、多くは3mA以上流さないと視認できる明るさにならないように思いますが、これは、将来変わるかもしれません。10年ほど前は、20mA流さないと十分明るくなかったです。たくさん電流を流すとより明るくなる傾向はあるのですが、たとえば10mAを超えても20mAまで明るさはほとんど変わらないかもしれません。
 超高輝度と呼ばれるタイプを探すと、1mA以下でも十分な輝度を得られる製品もあるようです。

電流制限用抵抗を購入

 抵抗には値がいろいろあります。電流制限用に用いる抵抗の値はオームの法則に従って計算するのですが、電源電圧などが異なれば、同じひかりかたをさせても同じ数値になりません。したがって、いろいろと取りそろえておくと便利です。抵抗の単価は約1円で、9割以上は人件費です。

 これもアマゾンで購入しましょう。

   抵抗セット

 香港などから購入できる抵抗は「金属皮膜抵抗」です。国内で入手できる安価な抵抗は「炭素皮膜抵抗」ですので、仕様上は金属皮膜抵抗のほうが良いものです。例えば、抵抗値のバラツキを表す精度は1%、温度が変化しても値があまり変わらない温度特性はとても良いものです。

 値以外にもW(ワット)も用途に合わせて選択いなければなりませんが、電子工作の多くは1/4W(=0.25W)でほとんどが用が足ります。

 欠点は、抵抗値を表す色が5本で表され、読みにくいことです。テスタで測らないといけません。でも、安さには勝てません。通常は欠点にならないのですが、リード線が細いです。ブレッドボードを利用するとき抜けやすく感じます。なお、電子工作では、リード付きの部品を使います。量産品は現在チップ部品が主流です。

あと必要なものはミノムシ

 ワニ口クリップとも呼ばれます。赤色と黒色があると十分ですが、最初に購入するなら多色セットが便利です。部品と部品を接続する配線材料です。

  • 赤色は電源のプラス
  • 黒色は電源のマイナス(グラウンド、GND)

という使い方のルールを身につけておくと、部品を壊さずにすむことが多いです。

 香港などで作っているワニ口クリップは、内面がつるつるなので、つまむと中の金属部分が勝手に回転します。すごくイライラします。

 

 使いやすいのは10本セットで千円を超える国産品(テイシン電機)です。10本持っていると、たいていの実験には十分足ります。

  マルツ クリップ
  千石電商 ミノムシクリップ

実験に便利なテスタも購入

 電気は目で見ることができないので、テスタを購入します。ディジタル・テスタは、千円以下で入手できます。ただし、この価格帯の製品は、最初から壊れているとか、すぐに壊れるとレビューがあるので、数千円の評判の良いのを購入したほうがよいかもしれません。同じ中国製でも、メーカによって品質の差は大きいようです。

  • 中国製のMastechは価格はリーズナブルだが、品質は安定している
  • 現在の日本ではSanwaブランドが有名
  • 較正用ディジタル機器を製造している本社がアメリカのFlukeが絶対的な信頼性があるといわれている

 車を趣味にしている方はアナログ・テスタを持っている場合があると思いますが、それを利用してもかまいません。

 みんなアマゾンでそろいました。

バックグラウンド

 白色のLED;青色のLEDに黄色の蛍光塗料を組み合わせると、白色になります。ノーベル賞を受賞した中村修二氏の所属していた日亜化学工業は蛍光塗料メーカです。