はじめての電気とIoT (2) LEDを光らせるのは簡単

部品は簡単に壊れないので実際に実験をやってみることが大切

 アマゾンで購入した電子部品はLEDと抵抗です。LEDを光らせるためには電源が必要です。

 LEDは100本購入、抵抗は、一つの値ごとに20本程度がセット物に入っています。これだけあれば、実験中に壊れても平気です。でも、壊れることはあまりないです。

実験のための電源として電池を使う

 乾電池には単一、単二、単三、単四電池が入手しやすいです。機器が小型になったので、単四がよく使われます。乾電池の発生する電圧は1.5Vです。使っていると少しずつ電圧が下がります。充電のできるエネループは1.2Vです。長期保存ができる特徴があります。

 青色と白色LEDのVfは3.0Vですから、発光させるためには3.0V以上の電圧が必要です。ここからLEDは白色を使います。青色でも同じ実験ができます。
 電源には、家の中に使っていないリモコンがあれば、それを使います。

 リモコンの裏ぶたを開けます。テスタを使って、電圧を測定するモードにダイヤルを合わせます。写真ではV-と書かれたレンジです。V~は交流電圧のレンジです。3Vが測りたいので、それ以上のレンジである20Vを選択しました。

 写真のように接続します。電池が新しかったので、1個1.5V以上の電圧でした。写真のリモコンでは電池が直列につながっています。電池を直列につなぐと足し算した合計が電圧になります。

 電池には出っ張ったプラスの極と平らなマイナスの極があり、電極と呼びます。電極部分にテスタのリード線が入らなかったので、抵抗のリード線を電極と電池の隙間に挿し込んで、電圧を測りました。

 作りたい回路図は次のようになります。回路図では、電源の接続が省略されることがあるので、図(a)の接続図を参照してください。

 この回路のポイントは2点です。

(1) 電流制限抵抗は100Ω

(2) LEDにはアノードとカソードがある <- 極性がある という表現と同じ意味。電源のプラス側/マイナス側につなげる端子が決まっている

接続を間違うとLEDは壊れるのか?

 まず、(2)の接続の方向です。接続を間違えると点灯しません。間違っても点灯しないだけで、LEDは壊れません。電子部品によっては、極性を間違えると爆発して壊れることもあるので、接続時は慎重に、納得して行います。

 LEDのアノードは電源のプラス側につなぎます。

 次の写真のように、アノードはリード線が長いほうという原則があります。

 もしリード線を切って短くしたいときは、写真のように、リード線を曲げて、アノードであることがわかるように習慣づけておくのがよいでしょう。

 SW1のスイッチは用意しませんでした。

 テスタを電流計に切り替えます。

 テスタを接続します。電流計は、回路をほぼショートした状態になるので、回路全体を電流が流れます。




電流制限抵抗の値は計算で求める

 上記の実験では電流制限抵抗に100Ωを使いました。順序が逆になりましたが、この抵抗の値を計算して求めます。

 条件を設定しましょう。LEDの電源は3.0Vです。LEDの順方向電圧Vfは3.0Vですから、抵抗で電圧降下しなければならない電圧は、

3.0-3.0=0V

 

 つまり、抵抗は不要です。しかし、LEDは、コラムの実測データにも示されているように、Vf電圧付近で、急に電流が流れ始め、少しの電圧上昇で20mAを簡単に超えてしまいます。LEDのバラツキによってVfは2.9Vかもしれません。電池も新品のときは1.5V以上の電圧が発生します。

 電源を3.2V、Vfを2.9Vとすると、抵抗で電圧降下しなければならない電圧は、0.3Vです。

 3.2-2.9=0.3V

 電流は4mA流すとします。最近のLEDは4mA流せば十分明るいです。オームの法則から、

 抵抗 R = 電圧 E / 電流 I  

    = 0.3/0.004
    = 75Ω

 市販の抵抗は、E-24系列というとびとびの値なので、一番近い抵抗値は75Ωですが、ない場合は100Ωを使います。

  100Ωを使った結果、電流は実測で約4mAでした。計算通りになりました。LEDを長時間点灯すると電池が消耗してきて電圧が低下します。例えば、3.2Vが3.0Vになったとします。

 Vfは2.9Vで変化しませんから、電圧差は0.1Vです。抵抗も100Ωのままです。

 電流 I =電圧 E / 抵抗 R  

    = 0.1/100
    = 0.001A = 1mA

 超高輝度LEDならこの1mAでも光るかもしれませんが、多くは暗いです。50Ωであれば電流は2mA流れますから、光るかもしれません。しかし、電池が新品のときに電流がたくさん流れるので、電池の消耗が速いです。

 したがって、白色や青色LEDは電池3本で電源電圧を4.5Vで使うほうが余裕がある使い方ができます。USBの充電器は5Vですから、5Vを利用するのもよいでしょう。

●電源が5V時の計算例

◆電流を4mA流すと仮定

 R = E / I    (R ;抵抗、単位はΩ。  E ;電圧、単位はボルト(V)。 I ; 電流、単位はアンペア(A))

    = 5.0 / 0.004

      = 1250 Ω E-24系列だと1.3kΩ、E-12系列だと1.5kΩが近い値。

◆電流を20mA流すと仮定(できるだけ明るく光らせたいとき)

 R = E / I    (R ;抵抗、単位はΩ。  E ;電圧、単位はボルト(V)。 I ; 電流、単位はアンペア(A))

    = 5.0 / 0.02

      = 250 Ω E-24系列、E-12系列ではどちらも270Ωが近い値。

 大雑把に光ればいいのであれば、270 300 330 360 390 430 470 510 560 620 680 750 820 910 1k 1.1k 1.2k 1.3kΩのどの抵抗を使ってもよいことがわかります。なので、適当に1kΩを使っていると、1kΩの在庫がなくなってしまいます。

コラム 青色LEDの電圧ー電流特性を測定

 実験用の定電圧電源を使って0.1Vずつ電圧を上げていき、LEDに流れる電流を測定します。

 使用した実験装置 定電圧電源 Agilent E3631A

  電流制限を100mAに設定して、プラス端子にアマゾンで購入した青色LEDのアノードを、マイナス端子にカソードを直接接続しました。測定中の画面と2.7V電圧を加えて点灯しているところです。電源の表示画面はPCのリモート・ソフトBenchVueを使っているので本体側は正しい表示になっていません。

 0.1V単位で電圧を上げて記録をとったデータをグラフにしました。白色LEDの参考のデータは、10年前に購入した白色のLED OSWT32166Bです。

 電流が増え始めるのは2.7V前後になりました。3~3.1Vでは20mA程度の電流が流れ、しっかり光っています。Vfの定義は、電流が流れ始める電圧ですが、この測定結果からは、普通に点灯したい電圧という解釈のほうが正しいかもしれません。もちろん、電子デバイスにはばらつきがあるので、1個だけ測定した結果がすべてを表しているわけではありません。

 グラフからわかるように、3V付近では、電圧が0.1V変わるだけで電流は急激に変化します。したがって、精密に電圧を制御できないと、電流を流し過ぎてLEDが破壊されるということが容易に想像できます。その問題を解決するのが電流制限抵抗です。

バックグラウンド

爆発して壊れる;電子回路に欠かせない電解コンデンサは極性があります。昔は、プラス/マイナスを間違ってつなぐと爆発したという事例がありました。電子工作では5V以下の電源を使うことが多いです。多くは、5V以下では極性を間違えてもそのまま働いてしまいます。接続を間違えて電圧を加えた後で、気が付いたときは、その電解コンデンサのリード線をつなぎ替えてはいけません。新品に交換します。

LEDは壊れません;LEDには逆方向電圧Vrという項目があり、3~5V前後です。アノードとカソードを逆に接続して電圧をかけたとき、この電圧を超えた場合、破壊に至ることがあります。今回、3Vの電源を使っているので、逆に接続しても壊れません。

4mAと20mA;マイコンのI/O(入出力)端子に直接LEDをつなぐことよくあります。PICやAVRと呼ばれる電子工作によく登場する8ビット・マイコンはI/O端子で20mAの電流を流せます。Cortex-M0などの組み込み用32ビット・マイコンでは4mA(5V電源時)です。