はじめての電気とIoT (3) コンピュータは必須
■IoTにはマイコンとネットワーク機能が必要
IoTを実践するにはコンピュータは不可欠です。これもアマゾンで調達しましょう。PCはインテルのCPUで動きますが、そのほかはほとんどの機器がARMのマイコンで動いています。ARM自身は半導体を製造していません。ARMのライセンスを受けてアップルはA10というマイコンを設計し、台湾のTSMCという製造専門の工場で作ってiPhoneに搭載しています。
A10はカスタム・マイコンと呼ばれ、一般の人は購入できませんが、NXPやSTmicroという半導体製造会社からは汎用マイコンや評価用マイコン・ボードが入手できます。
マイコン・ボードの一つにラズパイという愛称で呼ばれるRaspberry Piがあります。イギリス発のリーズナブルな製品群です。2016年10月までに1千万台出荷したそうです。なので、ユーザが多いです。ユーザが多いと、情報が多いです。
●購入するのはRaspberry Pi 3 Model B
アマゾンに行ってRaspberryと検索します。Raspberry Piには、
- Raspberry Pi B+
- Raspberry Pi 2 Model B
- Raspberry Pi 3 Model B
が一般的です。ほかにZeroやA+のモデルがありますが、入手しやすくはありません。一番高性能な「Raspberry Pi 3 Model B」を購入します。日本で流通している価格は6千円台です。アマゾンでは4千円台からあります。できればケースと一緒に購入しましょう。発送元は中国か香港ですから、2週間ほどで届きます。
Raspberry Pi 3 Model Bには、「Element14」と「RSコンポーネンツ」2社のパッケージがありますが、同じものです。製造工場は、イギリスのSony UK Technology、中国にあるIONOTE Electronics (Dongguan) 、日本の3か所ありますが、性能は同じです。
Raspberry Pi 3 Model Bは4コアで動作クロックは1.2GHzと、エントリのスマホと同じくらいの処理能力があります。目いっぱい仕事をすると発熱するので、ヒートシンクやファンが販売されています。通常仕事をして発熱しCPUの温度が上昇すると、自動でクロックを下げるので、ファンは不要です。
- USBポートが四つがあるので、PC用のキーボードとマウスがそのままつながる
- 100Mbpsの有線LANがあるので、近くのハブにつなげばネットワーク(TCP/IP)がすぐに使える
- ストレージはSDメモリなので、安価
- Raspberry Pi 3 Model BにはWi-FiとBruetoothが内蔵されている
- ディスプレイはHDMI
●ラズパイ本体以外に必要なもの
OSを入れるのはマイクロSDメモリです。16GB以上なら十分な容量があります。OS自体は約4GBです。電源は5V-2.5Aが必要といわれています。接続はマイクロUSBです。通常の利用では2Aの電流は流れないので、2.4Aの充電器でも動作します。USBケーブルは50cmと短いのを用意しておきます。
これだけで、ラズパイのOSを起動できます。
●IoTには配線が必須
センサやスイッチをラズパイにつなぐために、少しパーツを購入しましょう。はんだ付けをしなくてすませるにはブレッドボードを使います。正しくはソルダーレス・ブレッドボードです。大きさはいろいろありますが、写真の大きさ(約85×55mm)が手ごろです。ジャンプ・ワイヤの長さもいろいろですが、写真のは約20cmで、少し長いです。
サンハヤトは日本の会社なので、数日で入手できます。百円台のブレッドーボードの多くは中国から送ってくるので、2週間ほどかかります。
ジャンパ・ワイヤは、オス-メス・タイプが必要です。入手できるケーブルには、オス-オス、メス-メスがあり、状況によっては使うことがあります。
●案外費用はかからない
2016年11月現在、価格を見てみます。中国からの購入とします。SDメモリは国内の発送なので数日で届きます。いずれも送料はかかりません。早く届くSDメモリにはOSをインストールしましょう。
- Raspberry Pi 3 Model B (Element14) 4590円(国内発送でした)
- ブレッドボード 118円
- ブレッドボード・ジャンパーワイヤ(メス-オス) 78円
- Transcend microSDHCカード 32GB Class10 UHS-I対応 1180円
手持ちのケーブル類を流用します。もしなければ購入してください。
- USB-ミニのケーブル
- SDメモリのカード・リーダ・ライタ
- PC(できればWindows7、10)
- AC-DCアダプタ(充電器)5V-2.5A
- HDMIディスプレイもしくはテレビ
- HDMIケーブル
- LANケーブル
●インストールするのはLinux OS
本WebでもRaspberry Pi 3 Model Bを使ったWindows10 IoT Coreの記事の連載をしています。2016年現在、まだ発展途上です。情報が増えつつある段階です。
本連載では、RASPBIAN JESSIE WITH PIXEL(9月23日版)を利用します。
(2016/11/11)日本製のモデルが用意されたので、追加した。