はじめての電気とIoT (4) RASPBIANのインストール

見た目も変わったRASPBIAN JESSIE WITH PIXEL(2016年9月23日版)

 2016年11月現在、約1年前から、RASPBIANは、GUI環境を動かすstartxが自動で起動し、piユーザでログインするのがデフォルトになっています。RASPBIANはLinuxの中でも組み込みに向いたDebianというディストリビューションをベースにしています。このディストリビューションの特徴は、apt-getというカーネルからアプリケーションまで、ユーザの負担を最小限にしてインストールやバージョンアップができるツールを用意していたことです。Red-Hatなどではyumというツールに該当します。

 2016年5月ごろにはGUIでキーボード、I/Oの利用などの各種設定が安定してGUIでできるようになりました。最新版では4Kディスプレイにも対応し、Webブラウザが少ないメモリで動作するCromeが動き、11月現在、AdobeのFlashも動作します。VNCサーバも立ち上がり時に動作しています。

温度を測ったりモータを動かす環境

 IoTでは、物理的なハードウェアにアクセスします。ラズパイは、

  • GPIOの一つのピン単位のON/OFF
  • スマホ内部などでも使われるシリアル通信のI2C(信号線は2本)
  • 同じくSPI(信号線は3本)
  • 1本の信号線でセンサと通信できる1-Wire

を利用できる環境がそろっています。I/OはOSが管理するリソースですから、root(管理者)権限が必要ですが、2015年5月版(正確でないかもしれない)から、piユーザはrebootに管理者権限で実行するためのsudoは不要になりました。センサなどをつなげるI2C、SPIをアクセスするプログラムも、sudoをつけなくても実行できるようになりました。

OSを入れるSDメモリにWindowsでインストールする

 カード・リーダ・ライタにマイクロSDメモリを入れて、OSを書き込みます。Windows環境ではSDメモリは高速版がたくさんあって、それなりの速度で利用できます。ラズパイでは最新の高速版に対応していないので、class10であればどれを利用しても動作はほとんど変わりません。

 手順は次のようになります。

(1) 専用の書き込みツールWin32 Disk Imagerをダウンロード
(2) Raspberry Pi のDownloadページからOSをダウンロードし、解凍してimgファイルを得る
(3) カード・リーダ・ライタにマイクロSDメモリを入れ、Win32 Disk Imagerでimgファイルを書き込む
(4) SDメモリをカード・リーダ・ライタから抜き、ラズパイのSDソケットに挿し込む
(5) マイクロUSBケーブルで電源をつなぐとOSが立ち上がる

 電源をつなぐ前に、下記のように接続をします。

(1) HDMIケーブルでディスプレイに接続。ディスプレイの電源をON
(2) LANケーブルでハブに接続
(3) USBコネクタにキーボードとマウスを接続

(STEP1) 専用の書き込みツールWin32 Disk Imagerを入手

 Win32 Disk Imager のWebページからダウンロードします。

 Win32DiskImager-0.9.5-install.exe (日付: 2014-03-20, サイズ: 12.0 MB)

 ダウンロードしたファイルをダブルクリックしてインストールします。

(STEP2) RASPBIAN JESSIE WITH PIXEL(9月23日版)を入手

 ダウンロードのWebページに行きます。

 RASPBIANを利用します。zipファイルをダウンロードします。

 解凍すると、2016-09-23-raspbian-jessie.img ができます。デスクトップにコピーします。

(STEP3) SDメモリへの書き込み

 Win32 Disk Imagerを立ち上げます。書き込むimgファイルを開きます。

 デスクトップに置いたimgファイルを指定します。

 書き込むドライブを確認したら、「Write」をクリックします。本当にそのドライブでよいかを聞いてくる画面が出ますが、OKを押して進めます。実際に書き込みが始まります。

 書き込み終了画面です。OKをクリックします。「Exit」でこの書き込みツールを終了します。

 一回、マイクロSDメモリを抜き、もう一度カードリーダに入れます。imgファイルのうち/bootディレクトリはfatフォーマットなので、PCから読み書きができます。編集することがあるのはconfig.txtです。ラズパイが立ち上がる時に、オーバクロックやディスプレイの拡張設定などを行って、うまく立ち上がらなくなった時に、もとに戻したりします。

(STEP4) ケーブルを接続して電源を入れる

 カード・リーダ・ライタからマイクロSDメモリを抜き、ラズパイの裏面にあるSDスロットに入れます。少し入りにくいので、無理をしないようにします。少し左右に振るように入れていくとすんなりと入ります。

 HDMIケーブルをディスプレイにつなぎ、USBコネクタにキーボードとマウスをつなぎ、LANケーブルをハブにつなぐと準備完了です。

 マイクロUSBケーブルで電源(AC-DCアダプタか充電器、もしくは大容量モバイル・バッテリ)をつなぐと、最初に5秒待ってねというメッセージが出て、リブートします。これは、imgを書き込んだSDメモリは、そのほとんどが空き領域になっているので、利用できるようにファイル・システムを変更する作業です。一昔前は、これは手作業で行っていましたが、自動化されました。

 画面右上にマウス・ポインタを持って行って、上下の矢印の上に置くと、LANの設定情報が見えます。有線LANだけなので、Wanは設定されていないと表示が出ました。DHCPサーバからふられたIPアドレスは立ち上がるたびに異なることがあります。メモしておきます。

(STEP5) IoTを実践するための設定

 パッケージ・キャッシュの更新をするapt-get update、パッケージの更新をするapt-get upgrade、ときどきカーネルの更新をするrpi-updateをします。1,2週間に一度行います。更新に1時間かかることもありますし、数分で終わることもあります。

◆キーボードをセット

 キーボードを接続したものに合わせます。設定メニューから変更します。「Preferences」-「Mouse ad keyboard Settings」を選びます。

 キーボード・レイアウト(Keyboard Layout)のボタンをクリックします。

 筆者は英語101のキーボードを使っているので、United Statesからトップに隠れているEnglish(US)を選びました。

 一つ前の画面で、キーを実際に入れて確認します。| ~ @ # などはキートップの文字が正しく入力・表示されることを確認します。

 日本語キーボードは、Japan からJapanese(OADG 109A)を選ぶとよいでしょう。

 ダウンロードしたファイルから、インストールをする間に多くのファイルが新しくなっています。それらを更新します。

sudo apt-get update ; sudo apt-get upgrade ;sudo rpi-update

まとめて、更新をします。

 sudo apt-get updateが動き始めました。インストールできるファイルのリストを最新の状態にします。

 途中何度か質問がでます。sudo apt-get upgradeではこれだけの容量を使うがよいかと聞かれるので、yを入れます。

 qで抜けます。

 Adobeのflashのモジュールです。リターンします。

 nがデフォルトになっているので、nを入れます。

 カーネルのバージョンを確認します。

uname -a
Linux raspberrypi 4.4.30-v7+...

 再起動します。

reboot

◆I2C、SPI、1-Wireを利用できる状態にする

 ラズパイの初期状態では、シリアル通信のSPI、I2Cなどは有効になっていません。

 設定メニューから変更します。「Preferences」-「Raspberry Pi Configuration」を選びます。

 Interfacesのタブを選び、Enableにチェックをつけます。reboot後に有効になります。SSHは最初からEnableです。

(STEP6) Wi-Fiの設定

 Raspberry Pi 3 model BはWi-Fiが入っています。メニュー・バーの右肩にある矢印のアイコンをクリックすると、アクセス・ポイントが見えます。

 Buffaloを選びました。パスフレーズ?を入れます。

 矢印がWi-Fiのアイコンに変わり、つながりました。Wi-FiにもIPアドレスがふられています。

 LANケーブルを抜きます。Wi-Fiだけの接続になりました。

 準備は以上です。

 VNCサーバをチェックしたので、リブート後はいつでも起動しています。realVNCクライアントをPCに入れると接続できます。詳しくはこちらの記事を参照ください。