無線で高品位な音を飛ばす! CPI-WAM001モジュールの活用 (1) 機能

無線の利用で広がる音声伝送

 Bluetoothは近距離の無線通信方法としていろいろな場所で使われています。音楽用にも使われていますが、一度に送れるデータ量が限られているため、音質を犠牲にして過度に圧縮されることが多いようです。

 ここでは、CD品質、つまり、サンプリング周波数44.1kHz、16ビット・データを直接無線で送れるモジュールCPI-WAM001((株)シーピーアイテクノロジーズ)を使って音の伝送実験をします。モジュール自体は小型(写真の赤い色の基板)なのですが、電子工作として実験するために、CPI-WAM800というサブボードに実装された製品を利用します。

 ディジタル・インターフェースには2種類あります。

  • USB
  • I2S

ワイヤレス・ディジタル・オーディオ・モジュールCPI-WAM001には親機と子機がある

 親機1台に対して子機は4台まで接続(リンク)できます。野外コンサートや工場などで物理的配線が困難な場所など、手軽に設置できます。このシリーズは、大きく分けて3種類あります。

  • 筐体に入ってすぐに使えるCPI-WX001シリーズ
  • 試作や利用数量が少ない場合に便利なCPI-WAM800シリーズ
  • 量産時にコンパクトなCPI-WAM001シリーズ

 そして、アンテナによっても3種類あります。スリーブ・アンテナを用いると見通し100m以上の通信ができます。

  • スリーブ・アンテナ
  • パッチ/八木アンテナ
  • 内蔵アンテナ

 今回利用した試作に便利なCPI-WAM800には、次の製品がラインナップされています。

名称 モジュール 入力 出力 アンテナ・タイプ
CPI-WAM800/MU-I - USB - 内蔵
CPI-WAM800/MI-I - I2S - 内蔵
CPI-WAM800/S-I - - I2S 内蔵
CPI-WAM800/MU-E - USB - 外部(CPI-WAM901、CPI-WAM902が同梱される)
CPI-WAM800/MI-E - I2S - 外部(CPI-WAM901、CPI-WAM902が同梱される)
CPI-WAM800/S-E - - I2S 外部(CPI-WAM901、CPI-WAM902が同梱される)

 

 実験には、I2Sインターフェースが利用できるCPI-WAM800/S-I(親機)とCPI-WAM800/MI-I(子機)を1台ずつ使いました。

 USBインターフェースのモデルは、PCとつなぐとUSB オーディオ・デバイスのスピーカに見えます。I2SはCD/DVDなどのD-Aコンバータのインターフェースの規格です。4本の信号線が定義されていて、PCMデータの欠落のないやり取りが行えます。

 

コラム I2S信号

 I2S(Inter-IC Sound)信号は、CD/DVD以外にも、PCオーディオ用でよく使われるUSB DACなどの内部で使われます。PCのwavファイルのようにPCMデータをやり取りできます。サンプリング周波数は44.1kHz以外にも、32(8)kHzからハイレゾの192kHz以上、16ビットもしくは24ビットが扱える汎用のフォーマットです。

 信号は4種類ありますが、D-AコンバータPCM5122のように、内部でMCLKが作成できるデバイスの場合は3種類です。

  • WCLK(LRCLK、WS) ワード・クロック。ステレオの右と左の信号を判別する
  • BCLK(BCK) ビット・クロック。データと同じ周期のクロック
  • SDISDO(Data) PCMデータ
  • MCLK(MCK) マスタ・クロック。BCKの64倍のクロックが多く、D-A/A-Dコンバータの内部処理で使われる

 タイミングは3種類あります。

  • I2Sフォーマット
  • 左詰めフォーマット
  • 右詰めフォーマット

 今回利用するデバイスは、I2Sフォーマット(フィリップス・フォーマット)です。LRCLK変化したときからBCLK 1個ロック分遅れてデータを受け取ります(D-Aコンバータの場合)。