フォノ・イコライザの組み立て (6) リプル・フィルタの効果を観測

低い周波数の不要なノイズを取り去る

 AC100Vをトランスで降圧、整流し電解コンデンサを入れても、完全な直流にはなりません。脈流といわれ、うねっている部分はリプルと呼ばれます。コンデンサの容量を増やすとリプルは減少しますがコストがかかります。

 50/60Hzおよび100/120Hzのリプル成分を減らすために、トランジスタによるリプル・フィルタが使われました。トランジスタのベースに入っているコンデンサの容量がhFE倍に増えるといわれています。hFEは約100ぐらいが多いので、コンデンサの容量を増やすより経済的です。

 ここでは約50kHzの発振周波数をもつAC-DCアダプタ(スイッチング電源)を利用しています。

電圧は下がる

 リプル・フィルタを入れると、入力と出力に少しの電圧差が必要です。実測します。

 入力電圧は12.34V、無負荷時のリプル・フィルタの出力は11.98Vでした。アンプにつなぐとB+は11.11Vまで下がりました。定電圧回路ではないので、負荷電流が増えてベースの電位が変動すると、出力電圧も変化します。

1MHz帯域で観測 B+

◆電源入力に何もつながない状態

◆電源ON フィルタなし

 AC-DCアダプタの電源を供給したときの様子です。

◆電源ON リプル・フィルタを挿入

●100kHz帯域で観測 B+

◆電源入力に何もつながない状態

◆電源ON フィルタなし

◆電源ON リプル・フィルタ挿入

●100kHz帯域で観測 VD2

◆電源入力に何もつながない状態

◆電源ON フィルタなし

◆電源ON リプル・フィルタ挿入

◆100kHz帯域 電源ON リプル・フィルタ挿入 +自作フィルタ

◆1MHz帯域 電源ON リプル・フィルタ挿入 +自作フィルタ

  コモン・モード・フィルタとリプル・フィルタの組み合わせで、AC-DCアダプタからのノイズはほぼ取り除けたようです。