TB6605FTG Brushless Motor Kit for Arduinoをラズパイで利用する(3)

 前回、正弦波モードでブラシレスDCモータの巻き線、U、V、Wを観測しました。利用したオシロスコープHantek 1008C(8チャネル)の周波数特性は伸びていないので、方形波がなまって三角波に見えていました。

 電流は置いておき、三つのホール素子(HU+、HV+、HW+)の波形を観測したのが次の図です。HU+のロジック出力がHPなので、波形は同期しています。

 ここでは、周波数が伸びているオシロスコープPicoScope 5242B(2チャネル)で個別の波形を見ていきます。

PWM_IN周波数と回転数

 最初に、PWM_IN周波数の影響を観測します。データシートに規定されている10k~100kHzと広い周波数の中から選択します。10kHz、25kHz、50kHz、75kHzの波形を次に示します(前回は96kHz)。ホール素子の出力HPは、72~75Hzとほとんど変化しません。つまり、回転数とは無関係の信号といえます。

U、V、Wの電圧波形

 Uとホール素子HU+を観測します。HU+が負論理とすれば、この二つのスタート時の信号は同期しています。HU+がHighに戻ってもU信号は少しの時間出ています。

 スタート時を拡大します。HU+がLowになってから細いパルスが出、そのあとパルス幅が少しずつ太くなっている様子が見られます。

 少し長いスパンで見ます。パルス幅が変化している様子がわかります。

 終盤、HU+がLow-Highに変化した付近の波形です。

 拡大しました。終盤に向けてパルス幅がどんどん細くなっているのがわかります。

正弦波 PWM 駆動の動作波形

 Driving Modeは、正弦波駆動にしていました。データシートに線間電圧OUTA-OUTBが掲載されています。実際の信号で比較するとU-Wのようです。
UとWの信号です。

 U-W演算結果を中央に表示します。

 拡大します。極性が変わる付近のパルス幅密度は低いです。中央付近の密度は高いです。オシロスコープの演算で線密度をどのように演算して表示してよいかがわかりませんでした。線密度を想像してグラフにすると、正弦波が得られるように見えます。

 PDM(Pulse Density Modulation)波形はローパス・フィルタを通すとアナログに戻ります。オシロスコープの機能で、演算後にローパス・フィルタを掛ける数式が見つからなかったので、入力波形に約8kHzのローパス・フィルタをかけました。中央のU-Wは、正弦波になっていることが確認できます。