オーディオ帯域の波形を見る手軽なツール ADALM1000 (3) Pixel Pulse 2でLED

 アナログ・デバイセズのADALM1000に Pixel Pulse 2をインストールすると、手軽なオーディオ帯のオシロスコープになります。2チャネルあって、通常は電圧を表示しますが、内蔵の発振回路も同じ端子につながっているので、いろいろな使い方ができます。

 実験で用いるLEDや抵抗の一番コストの安い入手方法は、こちらを参照してください。

LEDをつないで、各電圧を見る

 白色、青色、赤色、緑色のLEDを用意しました。ADALM1000は0~5Vの電圧を扱います。一般的な8ビット・マイコンは5Vで動作し、低価格な32ビット・マイコンは3.3Vで動作します。

 写真のように、300Ωの抵抗と共に白色LEDをつなぎました。LEDにはアノードとカソードがあり、端子の長さで見分けます。長いほうがアノードです。省略形は「A」、もう一方の短いほうがカソードで省略形は「K」です。

 USBケーブルをPCにつなぐと、Pixel Pulse 2が起動します。チャネルA(CH A)のデフォルトはConstantですから、一定の電圧が出ています。チャネルB(CH B)も当然電圧がかかっていないので0Vです。LEDに電流は流れないので、光っていません。

 右の青い丸をマウスで上に上げていきます。2Vまで上げました。LEDは光りません。

 少しずつ電圧を上げていくと、2.8V付近から光り始めました。LEDは点滅しています。これは、周期的に表示を行っているためで、設定メニュで「Repeated sweep」のチェックを外すとLEDの点滅は止まりますが、画面の波形は流れてしまいます。

 電流はそれ以下の電圧のときと同じで0.4mAです。正しい測定値であるかは不明です。

 白色LEDの規格の多くは、順方向電圧Vf=3.0Vと書かれています。CH Bの電圧が3.0VになるようにCH Aの電圧を上げていきます。CH Bの電圧も上がっていきます。CH Aが5Vに近づくほどLEDが明るくなります。

 これでは変化がよくわからないので、ノコギリ波(Sawtooth)を発生させます。ノコギリ波は二つの電圧間を周期的に変化します。

 マウスのホイールを回して、よく見えるように二つ分の波形を表示させます。

 「2.5000」と数字が出ている青い点をマウスで引き上げます。5Vまで上げました。低いほうの電圧は0Vです。1kHzの周期で、0Vから5Vへ電圧が上がっては0Vに下がるという動作を繰り返します。

 CH Bは2.7V付近から電圧は上がらくなり2.95V付近が最大値です。これは、300Ωの抵抗によって制限を受けています。この300Ωの抵抗を電流制限抵抗といいます。

 LEDを青色に変えました。電圧が上がらなくなるところは白色LEDより低くて2.5Vです。

 LEDを赤色に変えました。電圧が上がらなくなるところは1.7Vです。

 LEDを緑色に変えました。電圧が上がらなくなるところは1.9Vです。

 これらの測定結果をまとめます。「電圧が上がらなくなるところ」が順方向電圧です。

  赤色[V] 緑色[V] 青色[V] 白色[V]
古い時代のLED 1.7 1.7 3.0 3.0
実験に使ったLED 1.7 1.9 2.5 3.0

 今回の白色は10年前に購入したものです。赤、緑、青色は、2016年に購入したものです。緑色は、昔と材質が変わって、Vfは上がっています。白色は、青色と中身は同じですが、メーカや材料によって電圧は変わります。

接続を変えるーLEDを逆方向にする

 緑色のLEDの向きを逆にしました。LEDの逆耐圧は5V程度あるので、破壊されません。特に現在パルスで駆動しているので壊れにくいのかもしれません。元の方向に戻すと、普通に点灯しました。

 CH Aに抵抗がつながっていましたが、抵抗とLEDを逆にします。問題なく光ります。

電源電圧が5VだとLEDを2個直列につないでも光る

 元に戻して、緑色LEDに直列に赤色LEDをつなぎます。

 問題なく緑と赤色の両方とも点灯します。抵抗のところの電圧は、3.7Vです。


 緑色LEDに直列に青色LEDをつなぎます。電圧は4.4Vです。つまり、5-4.4=0.6Vが抵抗の両端にかかっている電圧です。

 緑色LEDに直列に白色LEDをつなぎます。電圧は4.5Vです。

 白色と青色の組み合わせにします。ほとんど光っていません。

 まとめると、LEDを2個直列に接続するとき、合計のVfが5V以下であれば光ることがわかります。

LEDの電流を一定にした駆動方法

 前項では、電流制限抵抗を使いましたが、LEDではたとえば一定の20mAを流す方法があります。定電流駆動といいます。

 CH AにLEDのアノードを、カソードをGNDに接続します。CH Bにはなにもつなぎません。USBケーブルをつなぐと、次のデフォルトの画面になります。

 Channel A のZアイコンをクリックし、「Source Current,Measere Voltage」を選択します。

 電流の右端にある青いドットをマウスで20mAに動かしました。

 スタート・ボタンをクリックすると、LEDが点灯します。電流は設定の20mAです。電圧は3.2Vが出ています。

 電流の波形を方形波にします。

 電流値がリセットされるので、マウスで40mAに増やします。LEDには3.3Vがかかっています。LEDの規格表を見ると、パルス駆動時の電流値が記載されています。パルス駆動したほうが明るさと消費電力のバランスをとることもできそうです。