フォノ・イコライザの組み立て (4) 電源のノイズを観測

電源のノイズは少ないほど良いはず

 OPアンプを増幅器に使ったとき、電源電圧の変動はあまり出力に影響がないです。しかし、FETの増幅回路は、ドレインと電源の間に入っている負荷抵抗から取り出すのですから、電源に変動やノイズがあると、そのまま次段に伝わってしまいます。FETの電源電圧は、330Ω+470uFと7.5Vのツェナー・ダイオードで作っています。OPアンプより、リプルなどはより低減されます。

 古くからある3端子レギュレータの出力はノイズが多いといわれてきました。最近のカタログ・スペックの良い電源用ICを用いると、ノイズが減少します。でも、音が悪くなることがあるそうです。それは、性能を上げるためにフィードバック回路が入っており、その出力変動の過渡特性がよくなく、余計にノイズをばらまいてしまうことも考えられます。したがって、IC自体のノイズの問題と、負荷変動時のノイズ抑制など、オーディオ用電源は奥が深いです。

電源のノイズを見る

 アンプに12VのAC-DCアダプタをつなぎ、電源のノイズを見ます。

 観測するのは3か所です。OPアンプのB+/B-、FETの電源VD2です。FETの電源電圧は5.08V(VD1は5.12V)です。B+はAC-DCアダプタが直接つながり、B-はその電源を元にLTC3261が作っています。

 最初に、スペクトラム・アナライザで、100kHzの帯域を見ます。

◆電源OFF B+

 スペクトラム・アナライザのケーブルをB+へつないだ状態です。GNDはアンプのGND端子に、プラス側には0.22uFのフィルム・コンデンサでDCをカットしました。AC-DCアダプタはつないでいません。
 環境のノイズを拾っています。このアドバンテストのTR4171のノイズ・フロアは約-160dBm/Hzです。画面の一番上のラインが-50dBmです。マス目一つが10dBmです。

◆電源ON B+

 AC-DCアダプタをつなぐと、ノイズ・フロアが約30dBm悪化しました。50kHz付近に大きなノイズが見られます。

◆電源ON B-

◆電源ON VD2

 12V電源から330Ωと470uFのフィルタが入っているので、全体のノイズが減少しています。

 つづいて、1MHzまでの帯域を見ます。

◆電源OFF B+

 環境ノイズがすごいですね。測定する時間帯によっても出ているノイズは変化します。

◆電源ON B+

 51.9kHzが5VのAC-DCアダプタの発振周波数のようです。高調波も高いレベルで出ています。

◆電源ON B-

 マイナス電源は、チャージ・ポンプ方式のDC-DCコンバータLTC3261で作っています。慎重に実装されているのか、デフォルトの発振周波数500kHzに特別にノイズが増えていません。12VのAC-DCアダプタの発する大きなノイズにマスクされているのかもしれません。

◆電源ON VD2

 12V電源から330Ωと470uFのフィルタが入っているので、全体のノイズが減少しています。

エネループを電源に

 比較のために、充電直後のエネループを8個つないだ電源を用意しました。測定開始時の電圧は11.54Vでした。

 1MHzまでの帯域を見ます。

◆電源ON B+

◆電源ON B-

◆電源ON VD2

 

 次回、電源フィルタを入れて、ノイズが低減できている様子を観測します。