約1万円の測定器OpenScope MZ (5) DC電源
■最大±4Vの出力
OpenScope MZはオシロスコープで波形を観測するときに便利な電源を持っています。実験するときは±の電圧があると、OPアンプの電源などに利用できて便利です。最低5V欲しいところですが、OpenScope MZは±4V、50mAです。回路図を見ると±5Vが出せるように見えますが、4Vを超える電圧を設定すると警告が出ます。
●出力電圧と実測値
DMMには1/2 6桁のKEITHLEY 2000を使いました。何年も校正されていないので、正しい測定値を表示できませんが、1/2 5桁の確度はとれているようです。
DC Power Supplyに0Vを入れてもCh1には17mV(Ch2 27mV)と表示が出ます。DMMの読みは16.3mVです。回路図を見ると、10ビットのラダー型D-Aコンバータです。きりの良い数値を入力しても、10ビットの近似値に修正されているようです。設定された値に対して、実際に出力される電圧は、1%以内の誤差に入っているように見えます。
入力した値 | Ch1表示値 | DMM読み取り値 | Ch2表示値 | DMM読み取り値 |
---|---|---|---|---|
100mV | 95mV | 95.95mV | 108mV | 107.8mV |
500mV | 494mV | 493.5mV | 504mV | 504.1mV |
1.1V | 1.011V | 1.010V | 1.10V | 1.0995V |
3.3V | 3.321V | 3.315V | 3.281V | 3.276V |
3.9V | 3.919V | 3.912V | 3.917V | 3.918V |
4.0V | 3.998V | 3.991V | 3.995V | 3.9895V |
4.1V(*) | 3.998V | 3.991V | 3.995V | 3.9895V |
-4.0V | -4.005V | -3.9999V | -3.983V | -3.975V |
-3.0V | -3.011V | -3.005V | -2.991V | -2.984V |
-1.0V | -0.979V | -977.3mV | -1.004V | -1.002V |
-100.0mV | -103.0mV | -102.6mV | -91mV | -90.1mV |
(*) ±4V以内という警告がでる。
●将来の機能への期待
電圧はプログラマブルなので、スクリプトを書くと、徐々に電圧を上げていくというような使い方が可能だと思います。しかし、初心者にとって高い壁があります。将来、GUIベースのユーティリティなどが発表されれば、エンド・ユーザにとってとても便利な測定器になります。期待しましょう。
コラム 測定時に使うプローブ・ピン
ブレッドボードの配線に使うジャンパ線用メス・コネクタがOpenScope MZから出ています。同社はFlywire cableと呼んでいます。ピン数や配置はAnalog Discoveryとほぼ同じなので、BNCアダプタを取り付け、WavegeneからCh1につないで観測したら、正しく波形が表示できました。プローブは1:10が使えるので、入力耐圧は±200Vとなるはずです(未確認)。
プローブに使えそうなのを探しました。ワニ口・クリップだと狭い場所を咥えられません。ICピン用のクリップを工夫するのがよいようです。
単独でプローブを使うときはBNCアダプタ(自作)も便利です。