約1万円の測定器OpenScope MZ (7) 測定例 OPアンプ

OPアンプによる増幅回路

 電子工作では、増幅回路にOPアンプをよく使います。性能がよく使いやすい製品がどんどん開発されているからです。

 ±電源の応用例として、OPアンプ増幅回路を実験します。非反転増幅回路で、R2に10kΩ、R1に22kΩを使ったので、3.2倍の増幅回路です。回路はブレッドボード上に組みました。

 OPアンプの電源は、OpenScope MZのDC Power Supplyで+4.0V、-4.0Vを設定しました。OPアンプの動作時の電流は50mA以下なので、十分な電流を供給できます。

発振器の不具合で出力は実験は1.0Vp-p以上

 2017年9月現在のバージョン1.37では、1.0Vp-p以下のWevegeneの出力が出ません。

 2.8Vp-pののこぎり波を発振させました。Vp-pはピーク・ツー・ピークの電圧で、オシロスコープで見ている最低と最高の電位差を示します。

 2.8Vp-pをOPアンプで3.2倍増幅しているので、8.96Vp-p、プラス側で見れば+4.48Vになるはずです。しかし、電源電圧(4.0V)以上の増幅ができないので、出力はクリップします。その様子をOPアンプを交換しながら観測します。

OPA1688

 最近、オーディオ向きに開発された出力がレール・ツー・レーツのOPアンプです。

 電源の4Vまで出力がふれています。中国製のオーディオ用D-AコンバータのI-V変換に採用されています。

OPA2134

 古典的な計測用のOPアンプです。低い電源電圧を有効に利用できていません。特にプラス側の電圧が出ません。計測用回路では通常±15Vの電源を使います。

NJM4580DD

 オーディオ用の安価なOPアンプです。低い電源電圧を有効に利用できていません。CDプレーヤの出力電圧は3Vp-p、ポータブル・プレーヤなどでは約0.9Vp-pの出力が出ます。NJM4580DDを使うときには、できれば±9V以上の電源電圧が欲しいことがわかります。

将来の機能充実に期待

 電源電圧による増幅回路路出力がクリップする様子を観測しました。発振器を正弦波にしてFFTをクリックすると、高調波ひずみのスペクトラムが観測できます。将来THD(ひずみ率)などが表示されるようになれば、定量的にデータを収集できるようになり、より役立つ測定器になります。

 今のFFTの表示でも、2倍と3倍の高調波の値を記録するだけでも、増幅回路の特性を把握できます。

 また、今回の実験のように低い増幅率では高い周波数の特性に差が出ません。OpenScope MZの発振器を500kHzにすると、オシロスコープは波形表示の限界近くになります。OPアンプを使った増幅回路で20dB=100倍増幅すると、OPアンプの性能差が顕著に現れます。Analog Discoveryで測定した事例はこちらを参照ください。

 2017年9月現在のバージョン1.37ではボーデ線図が測定できませんでした。将来、バグフィックスされることを期待します。