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キットの製作 USBを電源にした可変電源 5/5

6 もし実験中にショートしたとき

 実験中は、間違って電源をショートしてしまうことはよくあります。電源回路の多くは、過電流保護回路が入っています。実験用でなく、機器に組み込まれる電源でも、負荷となる回路が異常になって大きな電流が流れた時にも、電源回路に大きな電流が流れ、発火や発煙が起こってはならないので保護回路は入っています。

ポリスイッチをショートとした状態で負荷をショート

 過電流保護回路は、設定した電流が流れた時、電源ラインを切るわけではありません。多くは電流をそれ以上流さないか少なくする制限をします。IC自体は1.5Aで電流制限がかかるとデータシートに書かれています。ポリスイッチをショートし、電流がいくらでも流れる状態にして実験をしました。

 負荷の途中にアナログの電流計を途中に入れ、出力をショートしました。電流計の針はピクリとも振れず、電圧はmVまで落ちました。すごく短い時間に電流制限がかかったようです。ショート状態を取り除くと、瞬時に電圧が復帰しました。 

電流を流したときに温度はどこまで上がるか
 同じ電流を30分間流し続けて放熱器の温度がどのくらいまで上がるかを実験しました。

  • 電圧3.3V、電流350mAで30分たった時の放熱器の温度は29.5℃->40℃でした。横軸は時間(分)、縦軸は温度(℃)です。3V3-350mA.jpg
  • 電圧3.3V、電流1000mAで30分たった時の放熱器の温度は30.6℃->49℃でした。 3V3-1A.jpg
  • 電圧1.5V、電流224mAで30分たった時の放熱器の温度は28.6℃->41.5℃でした。 1V5-224mA.jpg

 

ロード・レギュレーションを測る

 レギュレータICで、負荷電流を流したとき、電圧がどのくらい変化するかという割合を表したのがロード・レギュレーションです。まるで自動車や自転車レースに出てくる名称ですね。

 最初にIC自体の仕様を見てみます。

  • 入力電圧が出力電圧より2V高いという条件で、標準で0.2%/A、最大1.4%/A

◆出力4.5Vのとき

loadR1.jpg 縦軸は読み取った電圧、横軸は電流(mA)です。変動した電圧は 0.04V、変動率は0.04/4.5=0.9%。300mAの変化なので、1Aに換算すると3%/Aです。数値が悪いのは、入力電圧と出力電圧差が少ないのが原因かもしれません。

 出力インピーダンスは124mΩです。高めです。

◆出力3.3Vのとき

loadR33.jpg こちらの変動率は0.3%/Aで、出力インピーダンスは7mΩでした。

ON/OFFのレスポンス

 3.3V出力時に0Aと500mAを繰り返すとどういう反応があるかを確認します。ポリスイッチをショートした状態です。電子負荷までのリード線は約50cmです。ON/OFFの周期は約11kHzで、デューティは約50%です。

 波形の上側の赤色が電流センサで、下側の青色が電圧です。ON/OFFの境目でとくにノイズのような波形もみられません。

aki-NJM4.jpg

まとめ どういう場所に使うのに適しているか

 5Vからそれより低い電圧を取り出す実験用電源です。3.3V以下で使うのに適しているように思えます。1A流しても、放熱器の温度上昇は途中でほぼ止まります。30分ほど連続で利用しても問題がないことがわかりました。

 入力にパソコンのUSBポートから利用すると電流はあまりとれませんが手軽です。出力端子を間違ってショートしても、保護回路が働きました。過度の電流が流れず、安心して利用できます。入力の5Vをショートしたとき、ポリスイッチが実装してあれば、こちらも過電流の保護が働きます。

連載メニュー キットの製作 USBを電源にした可変電源

(1) 電源電圧を変化させられると実験に便利

(2) 回路図を読もう

(3) キットの組み立て

(4) 動作確認

(5) もし実験中にショートしたとき