リレーでON (1) Arduino UNO

 この連載では、いろいろな負荷をON/OFFするために機械式リレーを使う事例を取り上げます。用途によっては半導体リレーが便利なこともありますが、多くは機械式リレーが使われます。

 次の図のように、ソレノイド(コイル)に電流を流して接点をON/OFFしますが、電圧は5Vや12Vなど、ユーザが利用する場所によって選びます。マイコン・ボードArduinoでは5Vが用意されているので、5Vがよく使われます。1、2個ならばよいのですが、そこそこの電流が流れるので、たくさん同時に使うとき、5Vはマイコン・ボードArduinoの5Vではなく、外部に電源を別途用意します。 

Arduino UNOのディジタル端子

 ディジタル入出力に使うとき、Arduino UNOでは約20mAの電流を流せます。後述のリレーY14H-1C-5DSは30mA必要なので、直接リレーを駆動できません。トランジスタもしくはMOSFETを1個入れてドライブします。トランジスタやMOSFETをドライブするのには数mA以下の電流でよいので、ほとんどのマイコンから利用できます。

(※)Arduino UNOで使われているマイコンATMega328のI/O端子は40mAの電流が扱えます。限界性能で、電流を外部に流すソース電流と、吸い込むシンク電流は異なります。パルスであれば、倍近い電流が扱えるようです。しかし、電流をたくさん流すとマイコン自体が発熱するので、電子回路では避けます。ケースに入れると近くの電解コンデンサの周辺温度が上がり、装置自体の寿命が短くなります。

 マイコンのI/Oから大きな電流を直接扱うことになるので、電気的に絶縁ができるフォト・カプラアイソレータが使われることもあります。電子工作では、安定な動作を望むためにプリント基板を作って広い面積のグラウンドを用意できないことが多いです。たくさんのリレーを使うときには、瞬間的にたくさんの電流が流れ、グラウンドの電位が変動し、ノイズが増え、誤動作することもあります。そのようなときは、絶縁ができる回路を選びます。

リレーのドライブ回路

 次の回路は、一般的はリレー・ドライブ回路です。コレクタ電流が30mA程度なので、トランジスタは小信号用なら何でも使えます。ダイオードも小信号用を使います。

スリムでブレッドボードに挿して使えるリレー・キット

 5Vで駆動できるリレー(1回路)にトランジスタでドライブできるキットが秋月電子通商から販売されています。

  ドライバ内蔵リレーモジュールキット[AE-G5V-DRV] 通販コード K-13573

 はんだ付けして組み立てます。回路図です。
 ブレッドボード上に3ピンのピンヘッダ二つを挿しこみ、その上にプリント基板を置き、2か所をはんだ付けします。

 横から見て、ずれや傾きがないことを確認して残りのピンもはんだ付けします。

 ピンヘッダとは反対の面にリレーのピンを挿しこみます。

 最初に中ほどのピンをはんだ付けし、横から見て傾きや浮いていないかを確認します。浮いていたら、はんだゴテをあてて修正します。残りのピンもはんだ付けをして完成です。

実際に駆動する

 上記のキットのリレーは、最大で、交流125Vac-0.5Aもしくは直流24Vdc-1Aという負荷がつなげます。ここでは、1WのLEDをつなぎます。ブレッドボード上でAC100Vを使うと、抜けたりしたときに回りに被害が及ぶので、DCの負荷の実験に利用します。

 配線です。白色LEDの順方向電圧Vfは3Vです。電池は006Pの9Vを使います。LEDはデータシートでは350mA流せます。したがって、電流制限抵抗は、

  (9 - 3) / 0.3 = 20 [Ω] 

 近い抵抗値の22Ωを使います。消費電力は、

  0.3 * 0.3 * 22 = 1.98 [W]

なので、3Wもしくは5Wの中くらいの抵抗を使います。

 スケッチです。上記の配線はしたままでスケッチをコンパイル、実行します。

void setup() {
pinMode(8, OUTPUT);
}

void loop() {
digitalWrite(8, LOW);
delay(3000);
digitalWrite(8, HIGH);
delay(3000);
}

 コンパイルの途中、LEDは光りませんでした。スケッチの書き込みが終わると、3秒ごとに点滅を繰り返します。リレーの動作するときのカチッという音も聞こえます。

コラム 失敗例(逆向き)

 ピンヘッダをリレーと同じ側に取り付けてしまいました。ブレッドボードに挿しては使えませんが、ジャンパ線を利用するのでは問題ありません。


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