MAKER UNO + で始めるSTEM (13) 日の出をキャッチ②

 AE-LED1X3-12Vは秋月電子通商で販売されているLEDボードです。12Vの電圧をかけると、3個のLEDが点灯します。電流は50mAです。

12Vを手軽に得る

 Arduinoボードには5Vと3.3Vが用意されています。12Vは、何らかの電源を別途用意します。5VはUSBポートから得られるので、手軽なのは、昇圧型DC-DCコンバータを使うことです。アマゾンで探すと、USBの5Vから12Vを作るボードが見つかりました。最大200mAの電流がとれそうです。

 入力はマイクロUSBコネクタと別途端子があるので、PCからのUSBケーブルをつなぎ、半固定抵抗を回して12Vにセットします。

 接続です。DC-DCコンバータのOUT+端子をLED基板の12Vへ、OUT-はGNDへつなぎます。

 USBケーブルをつなぐと明るく点灯しました。

Arduinoでは直接12Vをコントロールできない

 MAKER UNO +のディジタルI/Oは5Vを扱います。各ポートの電流は20mA程度流せます。LEDボードのAE-LED1X3-12Vにある資料から、使われているIC TL4242のデータシートを見ると、ICの1番PWM端子にマイコンがつながっています。AE-LED1X3-12Vの12Vは入力と出力の両方に端子があります。U1とシルク印刷がある上の配線を切ります。これで、PWM制御用の12V入力端子は、出力側の12V端子と切り離されました。
 ナイフか彫刻刀で銅箔を1mm幅ぐらいで削り取って、テスタの抵抗レンジで12V端子同士がつながっていないことを確認します。

 出力側と切り離された制御用12V入力端子をMAKER UNO +の11番につなぎます。GNDはGNDへつなぎます。11番はPWM出力です。
 次のスケッチで、アナログ出力を2秒ごとに5と50という異なる明るさで切り替えます。

const byte analogOutPin = 11;
int outputValue = 0;

void setup() {
}

void loop() {
outputValue = 5;
analogWrite(analogOutPin, outputValue);
delay(2000);

outputValue = 50;
analogWrite(analogOutPin, outputValue);
delay(2000);
}

 5のときの出力波形です。周期は2.446msです。

 ON時のパルスの幅は451usです。デューティ比は、18%です。

  ON時の時間 / 周期 = 0.451 / 2.446 = 0.18

 50のときの周期は2.436msで、5のときと同じです。微妙な誤差はカーソルの位置がちょっとずれているのが原因です。

 ON時の時間は806usなので、デューティ比は0.33=33%と計算できます。

 次回、CdSとこのLEDボードを組み合わせます。

コラム DC-DCコンバータ

 直流を直流に変換する回路をDC-DCコンバータと呼びます。直流を直接別の電圧に変換することは簡単です。抵抗を使います。ただし降圧しかできません。また抵抗を使うと、電位差×電流=になります。かなりもったいないです。
 DC-DCコンバータは、スイッチング・レギュレータとも呼ばれます。熱を発生する部分が最小限にとどめられ、現代の主流です。

 直流をプチプチ断続的に切って、コイルに電流を流すと、高めの電圧が発生します。それを整流すると直流が得られます。昇圧型のスイッチング・レギュレータです。ブースト・コンバータと呼ばれます。逆に降圧もできます。バック・コンバータと呼ばれます。

 キャラメルのような形状のスマホの充電器もスイッチング・レギュレータです。100Vacを5Vdcに変換します。AC100V側から見ると、まずノイズ・フィルタがあって、次に整流回路で直流を得ます。140Vdcが得られます。その直流をMOSFETでスイッチングし、トランスを通して低い電圧を得ます。低い電圧を整流して約5Vが得ます。
 そのままでは、負荷(充電電池)をつなぐと電圧が変動します。それはまずいので、変動をトランスの1次側へフィードバックします。一般的なのはフォト・カプラを使い、最近ではトランスに別に巻き線を用意します。フィードバックによって、電圧が変動しないように制御します。

 トランスを使うのはAC100Vと5Vを絶縁するためです。本文で使っているDC-DCコンバータは絶縁していません。絶縁する必要がないからです。

 AC100Vをトランス(素材は鉄)を使って5Vacを直接作ればよいのですが、大きくて重たいトランスが必要です。たぶん5V-1A用だと数百gあります。スイッチング・レギュレータでは数百kHzで電圧を変換するので、トランス(素材はフェライト)はとても小さくて軽いです。

 フェライトは加藤与五郎氏と武井武氏の発明で、製造のためにTDKが作られました。コンピュータが低い電圧で大電流を要求するので、アナログ電源では対応できなくなり、スイッチング電源の開発が活発になりました。フェライト・コア以外に、大きなリプル電流を流せる電解コンデンサも必要で、日本の複数の会社は急速に性能の良い製品を作りました。
 時代の要求に合わせた製品を作る電源はできましたが、次はコストダウンです。特に1ドル70円台という、アメリカのリーマンショックの引き起こした騒動によって、日本国内で製造・輸出が困難になり、各社は台湾と中国本土に工場を建て、技術移転をしました。

前へ

ESP32入門 通信機能が標準搭載されたマイコン・ボード (5) Wi-Fi経由でブラウザにグラフを表示するサンプル・プログラムを動かす

次へ

ESP32入門 通信機能が標準搭載されたマイコン・ボード (6) I2CのWireライブラリを利用する①