マイコン・ボードRaspberry Piを使う前に知っておきたいこと (3)
■RaspberryPiを利用するときに必要な準備する周辺機器のまとめ
(1)と(2)は、すでにあるものを流用すれば、新規に購入しなくてもすみます。
(1) HDMIインターフェース対応のディスプレイ
2016年1月現在、HDMIの規格はバージョン2.0aです。RaspberryPiのHDMIはバージョン1.3もしくは1.4対応です。最初のバージョン1.0のとき、最大解像度は1920×1080でした。バージョン1.4では3840×2160 と4096×2160をサポートしていますが、リフレッシュ・レート60Hzをサポートしたのはバージョン2.0になってからです。
液晶テレビでもHDMIを搭載しているので、パソコン用ディスプレイでなくても利用できます。
(2) マウスとキーボード
一般にWindowsパソコンに使っているUSBインターフェースのマウスとキーボードが利用できます。インストール直後、キーボードは英語圏のモデルが選ばれていますが、OADG対応の日本語キーボードを選択できます。
英語と日本語のキーボードでは、@ " + などが異なり、Linuxのシェルでは、|^_ などをよく使います。キーボードの種類があっていないと、キートップに書かれた文字と実際に入力される文字種が異なり、使いずらいです。
(3) いずれのモデルでも必要なSDメモリ
microSDメモリにはOSを入れますが、OSが動き始めた後、アプリケーションなどをインストールするストレージにもなります。2016年1月現在最新のOSであるRaspbian Jessieは、zipファイルをダウンロードして解凍すると、3.66Gバイトの容量になります。SDメモリの容量は8Gバイトあればよいのですが、コスト・パフォーマンスが良いのは16Gバイトです。
SDHCという規格で、class10というデータ転送速度の速い製品を購入します。
(4) 電源は5V
マイコン・ボードはmicroUSBのコネクタがついています。5V-1Aもしくは5V-1.2A以上を供給できる電源をつなぎます。
- AC-DCアダプタで、出力がmicroUSBの製品
- 充電用でUSBのtypeAのコネクタがついている製品に、microUSBのケーブルをつないで使う
◆Raspbarry Pi 2 model B
有線LANは搭載されているので、パソコンがインターネットにアクセスできる状態なら、LANケーブルでハブにつなぐだけでインターネットにつながります。無線を利用したい場合、USBのWi-Fiドングルを用意します。
◆Raspbarry Pi Zero
HDMIのコネクタがminiなので、液晶ディスプレイとつなぐケーブルが対応していない場合は、
- mini-フルHDMIケーブル
- mini-フル変換コネクタ
のどちらかを用意します。次の写真の白いのがmini-フル変換コネクタです。
信号用のmicroUSBポートが一つなので、このままでは足りません。OTG対応のUSBハブを用意します。パソコン用のUSBハブが余っているようなら、OTG変換ケーブルを使えば、そのまま流用できます。
4ポートOTG対応のUSBハブ(USB2.0) バッファローBSH4UMB02BK
OTG変換ケーブルを使えば、一般のUSBハブが使える
ネットワークのインターフェースがないので、次のどちらかを用意します。
- 有線LANアダプタ
- Wi-Fiドングル
Wi-Fiの規格には、何種類かあります。最新の規格はIEEE802.11acです。親機は、2.4GHz,5GHzの両方に対応している製品が多いですが、子機として使うWi-Fiドングルは、どちらかになるようです。
- IEEE802.11n/g/b(2.4GHz帯)
- IEEE802.11ac(5GHz帯)
有線LANアダプタとして、PLANEXのUSB-LAN100RとUSB-LAN1000Rをつないでみました。どちらも、設定を何もしないでも認識してネットワークにつながりました。
次の写真は、Raspberry Pi Zeroを利用するのに必要な最低限の周辺機器をつないだところです。本体は5ドルですが、新規に周辺機器を用意すると、USBハブが700円、有線ネットワークが1280円、HDMImini-フル変換コネクタが170円かかるので、小計2150円。Zeroがもし700円で購入できたとすれば、合計2850円になります。B+の約半額です。
立ち上がり時に有線LANアダプタを見つけました。
[ 2.951847] usb 1-1.1: Product: USB 10/100 LAN [ 2.977287] usb 1-1.1: Manufacturer: Realtek |
ifconfigを実行したら、DHCPサーバからIPアドレスが振られていることが確認できました。
eth0 Link encap:Ethernet HWaddr 00:**:**:**:**:20 inet addr:192.168.111.110 Bcast:192.168.111.255 Mask:255.255.255.0 inet6 addr: ** inet6 addr: f** UP BROADCAST RUNNING MULTICAST MTU:1500 Metric:1 RX packets:14485 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0 TX packets:11455 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0 collisions:0 txqueuelen:1000 RX bytes:11907784 (11.3 MiB) TX bytes:1668227 (1.5 MiB) |
バックグラウンド
OADG;日本IBMがDOS/Vマシン(現在の世界中で使われているパソコンの始まり時代、日本で呼ばれていた名称)を日本で普及させるためにPCオープン・アーキテクチャー推進協議会(OADG)を作り、周辺機器の規格などを決めていきました。そのとき、109キーボードが生まれました。
Wi-Fiの規格;IEEE(アメリカにある電気工学・電子工学の規格を制定しているところ)が無線LAN関連規格としてIEEE 802.11を策定しました。その規格で通信する機器の相互接続を保証するマークがWi-Fiです。
DHCP;家庭内LAN、企業のネットワークは、契約しているプロバイダとの接続部分にルータを設置します。ルータの多くはDHCPサーバを兼任しています。DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバは、ネットワークに新規につないだPCなどのクライアント機器に対して、プールしておいたIPアドレスの中から一つを割り当てます。ネット・マスクやDNSの情報も一緒に設定します。クライアント機器は、電源を落としても、再度電源を入れると、同じIPアドレスがもらえます。通常リース期間が1週間とか1か月に設定されているので、旅行から帰ってきてPCの電源を入れても、同じIPアドレスが割り当てられます。
家庭内LANでは、プールしているIPアドレスは、プライベート・アドレスの中で、192.168.1.xxxがよく使われます。約250台のクライアントのIPアドレスを管理します。