記事  TOPに戻る

Arduinoで肉を美味しく調理する(2)データ・ロガーMCR-4TC

熱電対温度センサでロースト・ビーフの温度管理

 牛肉もも部を購入しチルドに保存しておきました。作業時間の関係で室温に放置しておく時間がなく調理の作業に入ってしまいました。
 肉の中心部と表面の温度を1mmΦのステンレスのシーズに入った熱電対センサで測定します。次に示すように、1本のセンサを先端が中心部に届くように固定します。一方のセンサは肉の下に敷いて、表面の温度をモニタします。

初めの温度は
 肉の中心部は最初0.7℃でした。表面の肉の下に敷かれたセンサは2℃くらいから温度が上昇しました。

 温度は、MCR-4TCで次のようにモニタできます。この写真を撮ったときは少し時間が経っていたので、内部の温度も少し上昇していました。
 MCR-4TCは4チャネルの熱電対センサを接続できます。今回はCH1、CH4にのみセンサを接続しました。CH2、CH3には何も接続されていないことを示すER B.OUTの表示となっています。

表面をフライパンで焼く
 フライパンを加熱し油をひいて肉の表面を焼きます。表面を強火で焼き固め香ばしい香りが付き、内部のドリップが漏れ出ることが防げます。フライパンが加熱され油の温度が180℃になったとき、先ほどだした肉をフライパンにのせます。肉とフライパンの温度は熱電対センサで測定すると100℃くらいまで下がりました。各面をしっかり焼き火を消し中心部の温度が約25℃になるまで40分くらい放置しました。
 本来でしたら、室温に放置して中心部の温度が室温近くまで上昇するのを待って表面の火を加えるべきでしたが、時間の関係でチルドから取り出し直ぐに加熱しました。

中心部が室温になってからオーブンにセット
 表面に焦げ目をつけたもものブロックをオーブンで加熱します。上から伸びているセンサはブロックの中心部をモニタしているセンサです。肉のブロックの下を横に走っているセンサは網とブロックの間に挟まれ肉の表面近くの温度をモニタしています。


 中心部の温度が53度を超えた時点でオーブンを開き、冷却を開始しました。

 周囲の温度が室温になっても中心部の温度は次に示すようになかなか下がりません。

 アルミ・ホイルに包んで一晩室温に放置しました。夜間キッチンの暖房が切られたので17度くらいまで温度は下がっていました。




 切ってみると中心部が赤く、期待通りの焼き加減となっていました。中心部の温度のモニタだけでなんとか期待通りのものは作れそうです。表面の加熱部分はチルドから出してフライパンでの加熱が少し長かったためです。調理を始める前に、室温まで内部の温度が上昇するのを待って加熱することで、加熱時間を短縮し表面部分に余分な熱負荷をかけないことで改善できることを願っています。


 MCR-4TCはデータ・ロガーですので、全行程の温度変化をモニタできたはずですが、記録スタートの操作を誤って放熱以後の温度しかモニタできませんでした。
 次回は、Arduinoに熱電対センサ・モジュールをセットしロースト・ビーフでロースト状態をモニタします。

(2017/3/13 V1.0)

<神崎康宏>

Arduinoで肉を美味しく調理する

(1) 温度センサは熱電対

(2) データ・ロガーMCR-4TC

(3) 熱電対センサ・モジュール

(4) ArduinoのSPI通信のピン配置がボードによって異なる

(5) テスト・プログラム

(6) 卵で実機テスト