Arduino夏休み<架空>ワークショップ 3回で読み切りの1回目「これだけあればOK」

やっぱりLチカから始めるよ

 じつは、Arduinoってたくさんの機種があります。昔は毎年新しい機種を出していたこともありますが、いま標準機種は「Arduino UNO Rev 3(アルディーノ ウノ リビジョン スリー)」です。オープン・ソフトウェアでかつオープン・ハードウェアなので、同等品をだれでも作れるので、「ウノ・コンパチブル(互換)」品は世界中にたくさんあります。

 純正のUNOにも4種類ほどあります。まったく同じです。

  • Arduino UNO Rev 3 最新モデル。I/Oポートのコネクタがつながっている
  • Arduino UNO Rev 3 Arduino.ccが出していた
  • Arduino UNO Rev 3 Arduino.orgが出していた
  • Genuino UNO Rev 3 Arduino.ccが出していた

 Arduino UNOはATMega328というマイコンが搭載されたマイコン・ボードです。ATMega328自体は150円程度の価格です。大量に購入すればもっと安価に入手できるので、450円ぐらいのArduino UNO同等品、もしくは互換品が市販されています。

PCはインテルのCPU

 WindowsやMacOSが動くPCはインテルのCPUが必要です。AMDのCPUでもかまいません。86アーキテクチャのCPUと呼ばれます。

 Arduino UNOはArduino IDEという開発ソフトでプログラミングします。Arduino IDEでは、

  • ATMega328、ATTinyシリーズのいくつかのモデル(Microchip)
  • Cortex-Mシリーズのいくつか(arm)
  • ESP8266、ESP32(Espressif)

などのアーキテクチャがまったく異なるマイコンでもほぼ動きます。さらに、どんなに速いクロックで動くマイコンでも、delay(1000)と記述すると、どれもがほぼ1秒間 時間待ちをします。

(※)CPUは中央演算処理部の略号で、モトローラはMPUと呼んでいました。CPUにタイマやA-Dコンバータなどの周辺デバイスを追加してATMega328やCortex-Mシリーズが作られていますが、これらをマイコンと慣習的に呼びます。インテルの現在のCPUの初期に作られた8080Aなどもマイコンと呼んでいましたが周辺デバイスは入っていませんでした。

初めてのときは、確実に動くものを購入しよう

 Arduino UNOの出荷台数がとてつもなく多く安定して製造されているので、不良品に出会う確率は限りなく0です。純正以外は、だれも品質保証をしていないことが多いので、まず1個だけは、純正品を購入しましょう。

(※)純正品のArduinoにも多くのバリエーションがあります。同じマイコンを使ったMEGAはピン数が異なります。Cortex-M0をつかったArduino M0は現状正しくプログラムを書き込めません。2018年6月現在、スリムな形状のMKRシリーズは日本に入ってきていません。

 Lチカというのは、LEDを点滅させることを指します。学校でC言語を初めて習ったとき、Hello Worldとディスプレイに表示をして学習をスタートさせることと同じレベルです。

 LEDには大きく分けて、

  • 赤色
  • 緑色
  • 青色

があります。明るさから、

  • 小信号用
  • 電力用

で分けられます。ヘッドライト用にも使われる電力用は相当技術力がないと安全に光りません。

 したがって、夏休みの課題では、いずれかの色で、小信号用を購入します。

電流制限用抵抗は使わない

 LEDを光らせるというのは、それなりのノウハウがあります。電子回路ですもんね。というのは、LEDはダイオードという電子デバイスなので2本の足(リード線)があって、電圧をかけて使います。電圧をかけるというのは、具体的には電池(電源)をつなぐという操作です。電源をつないで、決まった範囲の電流を流しますが、これがむずかしい!

 赤色LEDに1.2Vをつなぐと光りませんが、1.5Vだとうっすらと光ります。3Vだと、やらないでください。真っ白に光って燃えるかもしれません。

 1.2Vはエネループ、1.5Vはアルカリ電池で用意できますが、新品の電池の電圧はわずか高めです。

 赤色LEDは1.7Vもしくは2.0V付近から光り始め、さらに電圧を上げて2.5V前後でとても明るくなります。これは、電圧で表現しています。製品によって、小数点以下の数字は全然違います。2.0Vを超えるあたりからの明るさは急速に上昇します。

 明るさを見ながらほぼどれくらいの電圧というアバウトな表現をしています。デバイスの多くは電流で見極めます。小信号用のLEDは20mAぐらいを超えない電流で使います。最近の製品では高輝度タイプでは3mA以下で十分光ります。

 電流を20mA以上にしないために、一番安価な方法が抵抗を直列に入れることです。特別にこの役割をする抵抗のことを「電流制限用抵抗」と呼びます。しかし、利用する電源の電圧やLEDの色に合わせて、抵抗値を計算しなくてはなりません。計算した結果、わりとアバウトな抵抗値が求まるのですが、電流がいくら流れるかは把握しないとダメなんです。

 突然ですが、科学の発展の原動力になるのは、「楽をする」ことです。この電流制限抵抗を使わない方法を考えます。考えるほどのことはなく、

  • 電流制限用抵抗を内蔵したLED
  • 定電流回路を内蔵したLED

のどちらかを購入します。

 次回は、実際にショッピングします。

 アルディーノ っていう読みはあまり一般的ではないです。世の中でも猫店長のお店ぐらいしか使っていません。筆者(編集者)が初めてLinuxの書籍を世の中に出したとき、ずっとリナックスといっていたら、周りのすべての人から間違いだと指摘されました。10年ぐらいしたら、リナックスと、だれもが発音していました。

 アルディーノが普通に使えるようになったのは、Arduino IDE 1.01以降です。2012年5月ですから、まだ10年たっていません。

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