最新ラズパイ・ゼロと真空管アンプでハイエンド・オーディオを その5 測定1

何を測定するとアンプの性能がわかるか

 周波数特性を測っても、音がよいかどうかはわかりません。しかし、特定な周波数でレベルが異常だったら、出てくる音は変になると想像できます。

Analog Discovery 2で計測

 TU-8150に6AQ5を挿して、Lチャネルの出力に8Ωの抵抗をつなぎました。プローブ1(C1)と発振器を入力を、出力にはプローブ2(C2)をつなぎました。写真は出力管を6V6に変更したときの様子です。

5極管結線

 発振器は1kHz、1Vp-pの正弦波を出力します。8Ωの負荷で1Wの出力を得るには、抵抗の両端が約2.8Vrmsなので、ボリュームでその電圧になるように調整します。

 このときの周波数特性を測ります。

 発振器自体の周波数分析をします。ほんの少し高調波が見えています。発振器の高調波か環境ノイズとして観測されているかは定かではありません。

 出力の周波数分析です。1Wでは多めの高調波が出ています。

 ボリュームを2割ぐらい回した0.02W時の周波数特性ではほとんど高調波は出ていません。

UL結線

 周波数特性です。

 1W時のスペクトルです。

3極管結線(3結)

 周波数特性です。

 1W時のスペクトルです。マイナス側の波形がつぶれているのでひずみが多いです。

どの接続方法が自分に適しているのか

 3結はパワーが少ないです。なので、スピーカの効率があまり高くないときには、選びにくいです。また、全体的にひずみが多いです。バイアスが適正でないかもしれません。

 ULでは2倍の高調波が多めです。偶数倍の高調波は、ひずみとして耳はあまり敏感ではありません。ラの2倍はラの音ですから。

 したがって、5極管で3倍の高調波が相対的に多めなので、音が濁って聞こえるかもしれません。あくまでも、測定結果からの予測です。

 ただし、出力が低いときは、高調波は少なめなので、差がないかもしれません。

 もう一つの特徴が、高域にあるこぶのような特性の荒れです。出力トランスによって生じますが、3結ではその荒れが少ないです。NFのかける量によってもこぶの状態は異なるようです。この高い周波数が、音にどのように影響を与えるかは不明です。でも、気になりますね。

 最後に、低域の出方です。このキットのトランスは大変小型です。低音を出すにはコア・ボリュームが大きいことが要求されます。周波数特性上、相当低音が出るように見えます。しかし、スピーカの20から50Hz付近にインピーダンスが高い共振点があるので、これを駆動するのは大変困難です。

真空管の銘柄を変える

 UL接続で1W出力時の特性です。

 JJ ELECTRONICの6V6

 曙光の6P6P。少し2次の高調波が少ないですが、誤差範囲かもしれません。

 Sylvaniaの6V6。4次以降の高調波が少ないです。構造が異なるのでしょうか。真っ黒なので、中が見えません。

自然にみえる特性

 3結時、スペクトラムの高調波が増え始めるところでボリュームを止め、各種データをとりました。

 8Ωの両端の電圧は1.38Vなので、0.23W出力です。見た目の波形はきれいです。

 小電力時には、低域まで周波数特性は伸びます。高域のこぶも小さめです。計測結果だけをみれば、この状態で音楽を聴くと素敵な音が聞けそうです。