ラズパイ4用アナログ電源の製作③1A負荷
1次側の実験用電源を、8V、1.2A(max)に設定して、各ポイントの電圧と電流を測ります。
●無負荷時の電圧と電流
●1A負荷時の電圧と電流
時間とともに電圧と電流が変化します。Tr1に電流が流れると発熱します。温度が上がるとトランジスタの電流は流れやすくなります。したがって、温度が上がると最終的には過電流で暴走し、トランジスタは壊れます。この回路で、電流を抑制するしくみはありません。
15分過ぎるころまで温度はすばやく上がり、その後はゆっくりと上昇します。次の回路図の温度50℃は、約30分経過したときの温度です。温度の上昇はすごくゆっくりですが、上昇を続けます。室内で空気が動くと、温度が微妙に下がることもあります。
1A負荷時というのは、Tr1のコレクタ電流が1A流れています。無負荷時と比べて、いくつかの違いがありました。
- Tr1のVbeが0.5Vから0.3Vに減少している
- Tr1、Tr2共にベース電流が増えている
●各部分を細かく見る
ファンを回して、放熱器を空冷しながら実験をします。Tr1の温度は28~30℃の範囲で測定できました。負荷電流(Tr1のコレクタ電流)を、0、200、400、600、800、1000mAと変化させ、各ポイントの電圧や電流を測りました。
Tr2のコレクタ電流Icは、Tr1のベース電流Ibです。hFEはIc/Ibで計算しました。Tr1 2SC5198のhFEはこの範囲ではほぼ一定の100でした(①)。Tr2 2SC1815GRは300前後です(②)。いずれもデータシートに書かれた値です。
ダーリントン接続なので、合成hFEは30000になります。Tr1、Tr2のどちらのグラフも青色がhFEです。
左下のグラフ③は、Tr1とTr2のベース電圧と、出力の関係です。Vbeはほぼ一定の開きを保っています。どちらのトランジスタも約0.6Vです。二つあわせて約1.2Vです。ただし、Tr1のVbeはコレクタ電流の増加とともにわずかに小さくなります。
グラフ④は、出力電流とTL431の流れ込む電流の関係です。5~6mAの一定の電流が流れているのが確認できました。
(※)ファンはPCケース用12cm角です。定格の12Vで駆動しています。PC用は静かです。