ラズパイ4用アナログ電源の製作⑧組み立て

 ラズパイ用の電源を実験してきました。うまく解決できなかったのが保護回路です。約3A以上電流が流れたら、電圧と電流をほぼゼロにしてパワー・トランジスタを破壊しないようにできませんでした。しかし、実験では、放熱さえうまくできたら、数分以上は保護できる回路になりました。

回路図

 AC100V側には、省略していますが、ガラス管1Aのヒューズと電源スイッチがあります。ACケーブルとの接続は、TDKのフィルタ付きのACインレットRPE-2006Rを使いました。
 ブリッジ・ダイオードは、ショットキーのD15XBS6(60V/15A)を用いました。
 この電源回路はノイズが多めだったので、出力側にフィルタを入れました。コモンモード・コイルT2は現在入手できませんが、秋月電子通商で入手しました。

ケースと放熱器

 タカチのケースが品数が多く、放熱器をケースの外側に配置したスタイルの良いモデルもたくさんあります。ここでは、最低限、金属ケースを用意し、大きめの放熱器を取り付けて、パワー・トランジスタの発熱を抑える方向で考えました。

 今まで利用していた放熱器(写真右)と、今回利用した放熱器です。アマゾンで入手しましたが、このタイプは種類が少ないです。千石電商にはいろいろな大きさの製品があるので、選びやすいです。

 放熱器の大きさに合わせて一番安価なアルミのケースを選びました。

  タカチ【MB12-10-16(旧型番:MB-22)】MB型アルミケース ・高さ100mm、幅120mm、奥行160mm

 パワー・トランジスタの取り付けは、「【TO3Pホウネツシートセット5】放熱シート 5セット」を利用し、放熱フィンがコレクタなので、放熱器とはプラスチックのプッシュで絶縁しています。いずれもマルツで入手しました。

 出力電圧を表示するために、3桁の7セグLED表示器を取り付けました。ebayで200円前後で入手しました。

組み立て

 ケース加工

 穴あけ終了

 パーツの取り付け

 完成

負荷をかける

 2.0A付近まで出力電圧4.97Vを保っていました。保護回路が働いて出力電圧が1V以下になるときの電流は、3.7Aぐらいです。

 1A、2A、3Aの負荷電流を流したときの、パワー・トランジスタの温度上昇を測定しました。

 負荷電流による入力電圧と出力電圧の関係です。3A時には電圧が下がり気味です。

  電流[A] 0 1 2 3
入力電圧[V] 11.42 10.1 9.22 8.4
出力電圧[V] 5.04 5.01 4.97 4.72

 トランスの巻き線を、0-8Vから0-10Vに変更しました。3A時にも電圧低下はわずかです。3Aを20分連続で流したときの温度変化は、30.4℃->49.9℃でした。

 この時、トランスを触ると体感40℃ぐらいでした。ケース内部も温度が上がることを考慮し、ケースには、風が通るような穴を複数開けました。

  電流[A] 0 2.5 3
入力電圧[V] 13.84 10.71 10.28
出力電圧[V] 5.07 4.96 4.94

ノイズの測定

 TL431のRef端子-GNDにコンデンサC7をつないでいないと、少し発振をしているような波形がスペアナで観測できました。GND間に120uF、22uF、2.2uFの電解コンデンサを追加すると、出力電圧が大きく変動し発振していることがわかります。
 0.1uFのフィルム・コンデンサを追加したときのノイズです。100Hz~100kHzではノイズが多いです。

 100Hz~1MHzを見ます。200kHz付近からコモンモード・フィルタの効果なのか、極端にノイズが減少しました。コモンモード・コイルは、周波数が高くなるとインピーダンスが上がります。Xコン(C2、C3)によって高い周波数のノイズ成分がGNDに流れます。
 20本ぐらいの鋭いピークが観測できますが、これらは、環境ノイズです。

 ラズパイ用のアナログ電源は、3Aを連続して出力できました。現実は、1Aも流れることはないので、放熱器の大きさは過剰といえます。

 アナログ電源を使っても、ラズパイ側で電源ラインにノイズが乗ります。オーディオ関係に使っていても、アナログである利点はないでしょう。たとえば、D-Aコンバータのボードを利用するときなどは、ラズパイ本体の電源とは異なる電源を用意するのが、ノイズの影響を避けれるように思えます。