ESP32入門 通信機能が標準搭載されたマイコン・ボード (3) サンプル・プログラムを用いてWi-Fi経由でLEDのON/OFFを行う
前回Lチカを行った次のテスト回路のLEDを、Wi-Fi経由でPCから指示し点滅してみます。この実験を行えるESP32サンプル・プログラムを用いて、Wi-Fi経由でPCからマイコン(ESP32-WROOM-32D)のI/OポートのON/OFFを行います。
●LEDはディジタル05に接続
LEDは、出力がHIGH(1)になったときに点灯するように接続します。そのため、LEDのプラス(アノード)端子、足の長いほうの端子をESP32-WROOM-32Dの5番のピン(開発ボードの5またはIO5と表示されている)に接続します。
今回は赤色のLEDを使用しているので、点灯したときのLEDの端子間電圧は約1.7Vくらいになります。電流制限抵抗は330Ωくらいの値のものを使用しました。おおよそ4mA強の電流が流れます。LEDのマイナス側の端子(カソード)は、この電流制限抵抗経由でGNDに接続します。
●サンプル・プログラム SimpleWiFiServer
サンプル・プログラムSimpleWiFiServerを読み込みます。次に示すように、メニューバーのファイル>スケッチ例を選択すると、リストが表示されます。リスト例は、次の三つに大別されます。
① 内蔵のスケッチ例 ② あらゆるボード用のスケッチ例 ③ 選択されたボード用のスケッチ例 ここでは、ESP32 Dev Module用のスケッチ例 |
このESP32 Dev Module用のスケッチ例の中のWiFiを選択し、表示されるWi-Fi関連のスケッチからSimpleWiFiServer を選択します。
SimpleWi-FiServerのスケッチが開いた状態を次に示します。
① LEDをセットしたESP32 WROOM 32D開発ボードをPCにUSBケーブルで接続する ツールを選択し、表示されるリストに「ボード:”ESP32 Dev Module”」と「シリアル:”COMX”」(Xは開発ボードに割り当てられたCOMポート番号)が設定どおり記述されていることを確認します。 ② Arduino IDE SimpleWiFiServerを開いて2か所修正 SimpleWiFiServerにテストを行うWi-Fi環境の SSIDとKeyを設定します。 |
●設定方法
プログラムの30、31行の次の定数で設定されます。SSID(アクセス・ポイント名)とKey(暗号化キー、パスワード、パスフレーズと呼ばれる)はプログラム作成時に設定します。
const char* ssid = "yourssid"; // yourssidの代わりにSSIDの文字列を設定
const char* password = "yourpasswd"; // yourpasswdの代わりにKeyの文字列を設定
③ ツールバーの「右向きの矢印」の「マイコンボードに書き込む」アイコンをクリックし、コンパイルとプログラムの書き込みを行います。 |
モニタを起動しておくと、プログラムの書き込みが完了すると共にプログラムが起動し、シリアルモニタに次のメッセージが表示されます。
この表示は、setup()関数で、Wi-Fiの接続をおこないESP32-WROOM-32Dに割り当てられたIPアドレスが表示されています。このESP32-WROOM-32DのIPアドレスにWebブラウザでアクセスします。
●Wi-Fi経由でアクセス
PCのWebブラウザでURL欄に http://192.168.1.82 と入力し、ESP32-WROOM-32Dに割り当てられたIPアドレスにアクセスすると、次に示すメッセージが表示されます。
上段のメッセージのhereをクリックするとLEDが点灯します。このhereをクリックすると、PCから/HのメッセージがESP32-WROOM-32Dに送信され、/Hの文字を検出するとLEDを点灯するように5番のポートをHIGHにします。
下段のメッセージのhereをクリックするとLEDが消灯します。このメッセージの処理の様子がESP32-WROOM-32Dからシリアルモニタに送信されています。その様子を次に示します。
上段がLEDを点灯するときの処理で、下半分がLEDを消灯するときの処理です。Refererの文の最後HとLが異なる以外は同じ内容となっています。
次回、サンプル・プログラムと比較し処理の内容を確認します。
(2018/12/28 V1.0)
<神崎康宏>