MAKER UNO + で始めるSTEM (1) セットアップ以前

 MAKER UNO + は、Arduino UNOに、

  • 各ディジタル・ポートにLED
  • ボタンを1個
  • ブザー

を追加した製品です。

STEMははやり言葉?

 STEMは、Science、Technology、Engineering、Mathematicsの頭文字を並べた用語で、子供時代に、これら分野に関心をもって学習すると、社会に出たらバリバリと仕事ができるという魔法の言葉です。そのために、様々なメーカや団体からツール類が開発されています。一過性のブームかもしれませんが、従来から電子工作で使われているArduinoはその一端を担っているようです。

 Arduinoで最初に誰もがLチカを始めるとき、電子部品を購入しなければなりませんが、それらを省略できるのが、MAKER UNO +です。コンピュータの学習の敷居を少しだけ下げられます。スイッチサイエンスで入手しました。製品にはUSBケーブルも付属しているので、当分の間、この製品一つで学習を進められます。

進め方

 筆者は、STEMは子供たち自身が学ぶことより、その学習を手助けする立場の上級生やボランティアの人たちが、多岐にわたる知識を身に着けることが重要だと考えます。マイコンや電子機器を使わなくてもSTEMの学習は可能で、いろいろな利用方法が提案され、コストも低いです。
 マイコンの中でも学びやすいのがArduinoです。しかし、マイコンは突然世の中に出てきたものでもありません。時代が要求し、製造技術の発展と人の熱意がうまくマッチングした結果生まれました。それらの経緯を知ることは、これからマイコンの利用方法を学び、ある程度応用ができるようになり、次のステップに進むときに必要になるかもしれません。

 この連載は、歴史、用語解説がメインになります。次回は、マイクロコンピュータに焦点をあてます。

コラム Arduinoの概略

 20~30年前、マイクロコンピュータを使った開発は、プロでなくてもできました。今の流行言葉でいうIoTです(商用インターネットにつながるのは1991年ごろ)。けれども、使用するツール類にお金をかけられないので、創意工夫で乗り越えてきた経緯があります。メーカがマイクロコンピュータの価格を下げる方法は、ピン数を少なくすることです。その余波は、一つのピンに複数の機能が割り当てられているので、利用者はまず、機能を限定することから始めます。これは、機能や働きを十分に理解していない初心者にとって敷居が高いことです。

 さらに、C言語が有料だった時代が長く続きました。
 作ったプログラムを機械語に直したら、マイクロコンピュータのフラッシュ・メモリに書き込むには、書き込み器が必要です。

 まとめます。

  • マイコンのもっている機能のうち、自由度は減るが迷わず利用できる部分に限定した
  • gccというフリーのコンパイラを利用した
  • USB-シリアル変換を利用して、PCから実行できる機械語をマイコンに直接書き込めるようにした

 Arduinoを作った人たちは、この三つの壁を取り去り、プログラムをすぐにコーディングできるようにしたのです。

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