最新ラズパイ・ゼロと真空管アンプでハイエンド・オーディオを 第2部 その13 完成形2 AK4497EQを使う

旭化成エレクトロニクスのハイエンドD-Aコンバータ

 同社の第3世代 2チャネル32ビット プレミアム D-Aコンバータには、3品種あります。

  • フラグシップAK4497EQ
  • ハイエンドAK4490EQ
  • プレミアムAK4452VN

 ここでは、最初にAK4497EQを使います。スペックは一番上位ですが、 消費電力は346mWと大きいです。AK4452VNは50mWと省エネなので、電源ラインの変動が少ないなどでメリットが大きいかもしれません。

 何種類かのAK4497EQを用いたI2S入力ボードが市販されています。今回使ったボードは半年ほど前にebayで購入しましたが、現在は販売されていません。

 前回ES9038PROのキットを購入したDIYINHKでも「768kHz/32Bit AK4497EQ DAC, I2S/DSD input」が販売されているので、これを使うのがよいと思います。

 プリント基板のパターンやレイアウトによって出てくる音は異なるといわれています。ebayなどでは、写真を拡大できない場合が多いのですが、パターンや電源ICの配置など、考慮されているプリント基板を選ぶことが大切だと思います。概して、取り扱いショップが多い製品ほど、印象がよくありません。

AK4497EQボードの概要

 AK4497EQの出力ブロックではノイズ・シェーピングされた高域のノイズをスイッチト・キャパシタ・フィルタで除去していますが、少しオフセット電圧が出ます。コンデンサで直流を切ってOPA1688で差動増幅と緩やかな減衰特性のアナログ・フィルタを構成しています。別基板でバランス-アンバランス変換が用意されていましたが使っていません。設定用のPICマイコンが搭載されています。I2S/DSD、各種フィルタはジャンパピンで行います。

 電源は、マイコン用のAC 8V、OPアンプ用の±15Vの2系統です。15VからAK4497EQには近傍の二つのLDOを使って電源を供給しています。基板裏の電源ピン直下には0.1uのチップ・コンデンサが手はんだでついていました。

 OPアンプまわりの200/400Ωの抵抗は、付属のものではなくVISHAY(ビシェイ) 無誘導金属箔抵抗Z201に変更しました。手はんだが必要な電解コンデンサはOS-CONに変更しました。D-Aコンバータの出力に入っている100uFの電解コンデンサは、片チャネルは付属のものを、もう一方は薄膜高分子積層コンデンサ(PMLCAP)22uF×4個に変更しましたが、左右で音の違いを感じれませんでした。

電源の構成

 電源は、手持ちのトランスを3個使いました。それぞれの1次側にはファインメット・コアを使ったコモン・モード・フィルタを入れました。ラズパイ・ゼロの電源は可変3端子レギュレータLM338Tを使い、出力には容量の異なるコンデンサを並列につなぎました。トランスはEIコアの3Aです。リクロッカKALIの5Vは3端子レギュレータで作りました。AK4497EQ用AC 8V電源は同じトランスを使いました。Rコア・トランスです。±15Vはebayで購入したロー・ノイズLDO TPS7A4700電源基板を使いました。トランスはトロイダル・コアです。

音出し

 ラズパイとは、2-GND、3-Data、4-BCK、5-MCLK、6-LRCLKをそれぞれ接続します。

 8か所あるジャンパピンは、K8をショートするとPCM入力になります。K1、K2、K3の組み合わせで、パワフルなSharp roll-offやアコースティックのShort delay slow などのフィルタを切り替えられますが、筆者の耳ではほとんど判別できませんでした。

 切り替えて聞いたわけではありませんが、モバイル用のD-Aコンバータに比べて音数は増えているように感じます。だから音楽を聴く装置としてよいかどうかは人によって感じ方は異なります。平面的になりやすいオーケストラも、メリハリよく楽器の粒立ちもよく聴こえてきます。