感震センサで揺れを記録する M5Stack編 (1) 準備

 筆者の住んでいる柏市は千葉県と茨城県の県境に位置し、震度3クラスの地震が頻度高く発生し、ゆれることがしばしばあります。多くは茨木南を震源とする地震です。オムロンの感震センサ評価モジュール(Groveコネクタ付)を使って、できれば長期にわたって地震の指標SI値を記録するシステムを構築して運用しようと考えました。このボードはスイッチサイエンスから入手しました。

SI値

 形D7S 感震センサの解説ページの説明によると、SI値とは、加速度センサを用いて、地震の大きさを表す震度階級とも相関性の高い数値を計算したものだそうです。

感震センサ形D7Sのおもなスペック

  • 加速度検出範囲 -2000~+2000 gal
  • 通信インタフェース I2C(400kbps)、クロック・ストレッチ可
  • スレーブ・アドレス 0x55
  • 動作電圧 2.1~5.5V
  • 消費電流 待機時:90μA以下、処理中(平均):300μA以下
  • 取りつけ角度 ±5°

 加速度センサの単位はgですが、地震の加速度を表す単位はgal(ガル)を使います。 1gal=1cm/sec^2。地震が起こると、ビルなどでは固有周期が0.1~2.5秒間あり、この時間のスペクトル積分値(面積値)をもって、地震の破壊力を表す目安をSI(Spectral Intensity)値として計算します。そのために複数の加速度センサが必要ですが、X、Y、Z軸の加速度センサの値から計算できます。
 M5Stackに内蔵されている9軸センサMPU9250は3軸の加速度センサを内蔵しているので、計算でSI値を求めることができるかもしれません。

 デバイス自体には、震度5強相当以上の地震が発生した際に信号出すINT1端子(別の表現では倒壊検知条件を満たした場合)が用意されています。基板上ではランドがあるので、必要ならば、I2C信号以外に引き出して利用できます。例えば、通常スリープしていて、INT1がアクティブになったら、記録された測定値を読み出すような使い方があるかもしれません。

 地震の大きさを発表するのは気象庁ですが、配管などの損傷が起こりえる強度の地震が起こったとき、ガスの元栓を自動で締めたりする時の検知センサには最適だと言えます。

M5Stackのおもなスペック

 2016年秋、中国の企業Espressif SystemsがESP32という2コアでWi-FiやBluetoothまで含んだワンチップ・マイコンを発表し、あっという間に電子工作分野でも使われ始めました。同社はその前に8266という同様の機能をもつ(無線はWi-Fiのみ)ワンチップ・マイコンをリリースして、Arduino IDEが開発に使えることで知られていました。
 ESP-WROOM-32という技適を取ったモジュールが早い時期から日本国内で利用できました。M5Stackはそのモジュールではありませんが、技適を取得しています。

 ESP32を中心に、

  • 解像度320x240のLCD(ILI9341)
  • 三つのボタン
  • スピーカ(1Wのアンプを内蔵)
  • Grove(I2C)のコネクタを一つ
  • 小容量のバッテリ
  • 電源 USB Type-C

などをコンパクトに箱に入れた製品です。

表面。一般的なILI9341コントローラを使ったLCDよりコンパクトな形状をしている。

サイド1。電源スイッチ、USB-Cコネクタ、Groveコネクタがある。USBケーブルをPCから抜いた状態で、電源スイッチを二度押しするとOFFになる。一度だとリセットがかかる。

サイド2。マイクロSDメモリ・スロット

裏面。サイドにあるピンヘッダなどのI/Oポートの名称のシールが貼られている。

外部ピン

 写真に従って、ピン名と機能を説明します。筆者が確認していない部分もあるので、間違いを見つけたら修正します。

<上/下;メス>

上(メス) 5V 3V3 G 21 22 23 19 18
下(オス) 5V 3V3 G SDA SCL MO MI SCK
名称 +5V 3.3V GND G21、SDA G22、SCL G23、MOSI D19、MISO D18、CLK

<右/左;オス>

右(オス) 左(メス) 名称
R0 3 G3、RxD1
T0 1 G1、TxD1
R2 16 G16、RxD2
T2 17 G17、TxD2
G2 2 G2
G5 5 G5
DA 25 G25、DAC0/SPK(ADC2 ch8)
DA 26 G26、DAC1(ADC2 ch9)
AD 35 G35、ADC(ADC1 ch7)
AD 36 G36、ADC(ADC1 ch0)
RST RST  
BAT BAT Battery
3V3 3V3 3.3V
5V 5V +5V
G G GND

 何かするたびに、例えば、リセットがかかったとき、プツプツという音が聞こえることがあります。これは、スピーカから、短い時間音が出ています。

  • SDメモリはSPIバスでつながり、チップ・セレクトCSはGPIO4。
  • ボタン;AはGPIO39、BはGPIO38、CはGPIO37
  • スピーカ入力?はGPIO25。音量調節はない。

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