これ一つで測定すべてをカバーするADALM2000 (6) ネットワーク・アナライザでアンプの帯域を見る-4
DUTであるINA1620を使ったヘッドホン・アンプは、入力が差動になっています。
前回、OPA1612によるゲイン1の反転アンプを作り、ADALM2000の発振器W1の出力をIN+に直接入れ、反転アンプをはさんでIN-に180°位相のずれた入力を加えて増幅しました。
今回、入力トランスを利用してヘッドホン・アンプの特性を測ります。
●トランスはルンダールのLL1540
入力トランスは、ハイインピーダンス用で、入力と出力の巻き線が1+1:1+1であるLL1540を利用します。次の測定条件で、トランス自体の周波数帯域を見ます。
接続です。
100kHzまでフラットな帯域が観測できました。
●トランスを介してINA1620を使ったヘッドホン・アンプの特性を見る
発振器の出力をトランスの入力に、二つのトランスの出力を差動アンプの入力につなぎました。
トランスの出力です。レベルは同じで、位相が180°異なります。
トランスの入力(オレンジ色 200mV/div)、トランスの出力(紫色 100mV/div)の波形です。入力には1Vp-pのサイン波を入れています。
入力に使った発振器の出力です。
ネットワーク・アナライザの機能でボーデ線図の結果を得ました。帯域は100kHz付近までありますが、通過帯域がフラットではありません。
縦軸を変更して、細かいレベル変化を見ます。このままでは、オーディオ・アンプとして低音を感じる90~120Hz付近のレベルが低いので、すっきりした感じの音が聞こえてきそうです。