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これ一つで測定すべてをカバーするADALM2000 (4) ネットワーク・アナライザでアンプの帯域を見る-2

 測定したいのは、テキサス・インスツルメンツのOPアンプINA1620を使った評価ボードです。INA1620は、IC内部に負帰還用の薄膜抵抗1kΩが四つ入っています。したがって、差動アンプを構成するとき、それらのマッチングのとれた抵抗を利用すれば、入力信号だけ増幅でき、コモン・モード・ノイズを排除できます。

 差動出力のD-Aコンバータ出力を直接接続するために差動入力になっています。このままではADALM2000のネットワーク・アナライザが使えません。もし、Scopyのプログラムを変更して、発振器の出力を二つ使い、片方の位相を180°ずらすようにすれば測定はできます。

 ここでは、入力の片方に反転アンプを入れることで対処します。

反転アンプ

 できればDUTのヘッドホン・アンプより帯域がとれそうな反転アンプがよいと思い、OPA1612を利用しました。主なスペックです。

  • ノイズ;1.1nV/√Hz(1kHz時)
  • ひずみ;0.000015%(1kHz時)
  • スルー・レート;27V/µs
  • 帯域幅;40MHz(G = +1)
  • ループ・ゲイン;130dB
  • ユニティ・ゲインで安定
  • 静止電流;3.6mA(シングル)、7.2mA(デュアル)
  • レール・ツー・レール出力
  • 電源範囲;±2.25V ~ ±18V

 低雑音を生かし、出力電流も100mA以上取れるので反転回路の抵抗は1.2kΩという低めの値を使いました。

 OPA1612の電源は±5VをADALM2000からつなぎ、どちらの電源ラインにも0.1uFと22uFのデカプリング・コンデンサを入れました。

 DUT、ここではOPA1612反転アンプの入力側に、オシロスコープのチャネル1と発振器のW1をつなぎます。DUTの出力にオシロスコープのチャネル2をつなぎます。

 オシロスコープで入力と出力を観測しました。発振器は5kHz 1Vp-pのサイン波です。

 ネットワーク・アナライザを使ってボーデ線図を描き帯域を観測します。10MHz付近まで特性が伸びています。

これ一つで測定すべてをカバーするADALM2000

(1) セットアップ

(2) オシロスコープでOPアンプのフルスイングを見る

(3) ネットワーク・アナライザでアンプの帯域を見る-1 CRフィルタ

(4) ネットワーク・アナライザでアンプの帯域を見る-2 反転アンプ

(5) ネットワーク・アナライザでアンプの帯域を見る-3 差動アンプ

(6) ネットワーク・アナライザでアンプの帯域を見る-4 トランス