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TL431 (1) 温度の特性

室温での電圧変動

 TL431は、ツェナ・ダイオードに比べて広範囲の温度変化に対して一定の電圧出力が得られる基準電圧用ICです。次の回路で、約1時間ごとの出力電圧を測りました。

 測定に用いた電圧計はKEITHLEY 2000で、測定を始める約1時間前に電源を入れました。温度計はTANITAのTT-533という料理用です。

経過時間
[hr]

0 1:20 2 3 4 5 6 7:10 8 9:30
電圧
[V]
2.49228 2.49227 2.49227 2.49227 2.49227 2.49226 2.49225 2.49225 2.49224 2.49224
温度
[℃]
- 20.5 20.5 20.8 21.7 21.5 21.1 20.9 22.0 22.0

 9時間の測定で、変動は30uVでした。DMMの変動も含まれています。

温度を少し変化させる

 TL431の温度変動は、-40~85℃の全温度範囲で標準6mV、最大16mVです。代表的な特性グラフから、10~35℃の範囲では1mVていどです。恒温槽をもっていないので、ヘアー・ドライヤの温風を当て、冷却中に温度と電圧を記録しました。

 室温を20~35℃とすれば、2.49223->2.49211Vの変化をしました。変動は120uVです。

12ビットのA-Dコンバータ

 2.4922Vを基準電圧としたとき、12ビットのA-DコンバータのLSBは、

  2.4922 / 2 ^12 = 608uV

になります。したがって、TL431の室温での利用時に、1LSB以下の温度変化しかしないといえます。

16ビットのA-Dコンバータ

 同様に、

  2.4922 / 2 ^16 = 38uV

ですから、TL431を利用時に室温が大きく変化すると、数LSBが変動します。

参考 より安定な電圧源ADR4550

 データシートに掲載されているグラフから読み取ると、10~50℃の温度範囲では電圧変動は0.3mVです。12ビットA-Dコンバータには十分な安定度です。16ビットA-Dコンバータでは物足りませんが、TL431と同様に、カタログより実際の変動は一桁ぐらい少ないのであれば、十分安定な条件で利用ができそうです。

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