ラズパイ2023年10月更新 bookworm ⑨ ラズパイ5のGPIO

　ラズパイ5が日本国内で販売され始めたので入手しました。

●環境

ハードウェア　Raspberry Pi 5（4GBモデル）
OS　Raspberry Pi OS （64ビット）、リリース日December 5th 2023
Windows10 22H2にて、ssh（OpenSSH_9.2p1 Debian-2+deb12u2, OpenSSL 3.0.11 19 Sep 2023）および、VNC Viewerを動作させている

●GPIOのpythonライブラリ-WiringPi...使えなくなりました

　WiringPiのツールの一つであるgpio readallを実行します。

$ gpio readall
bash: gpio: command not found

　調べると、ラズパイ3までは普通に利用できていました。ラズパイ4の時代、2019年に開発停止を表明しており、 Busterではインストールは可能で、Bullseyeからは、リポジトリからなくなってインストールができなくなったようです。

　代わりに利用できるようになったraspi-gpioも、ラズパイ５では使えなくなったようです。

$ raspi-gpio get
raspi-gpio is not supported on Pi 5 - use `pinctrl`

　現役は、pinctrlのようです。

　ソースはこちらにあります。

　シンプルに、GPIOの状態を表示します。

$ pinctrl -p

　GPIO26とGND間にLED＋抵抗をつなぎました。

　出力に設定して、"H"レベルにすると、LEDが点灯しました。

$ pinctrl set 26 op dh

　"L"レベルにすると、LEDが消灯しました。

$ pinctrl set 26 op dl

●GPIOのpythonライブラリ-RPi.GPIO...使えなくなりました

$ pip list | grep RPi
RPi.GPIO 0.7.1a4

　インストールされています。しかし、調べると、ラズパイ5では動作しないようです。ラズパイ4では利用できるから、残っているのかもしれません。

　　Raspberry Pi 5 - gpiod vs RPi.GPIO

　　How to Control the Raspberry Pi 5 GPIO with Python 3

　LEDの点灯と消灯を繰り返すプログラムです。

import RPi.GPIO as GPIO
import time

port = 26
GPIO.setmode(GPIO.BCM)
GPIO.setup(port, GPIO.OUT)

while True:
GPIO.output(port,GPIO.HIGH)
time.sleep(1)
GPIO.output(port,GPIO.LOW)
time.sleep(1)

GPIO.cleanup()

　led2.pyという名前で保存し、実行すると、エラーが出ます。

$ python led2.py
Traceback (most recent call last):
File "/home/yoshi/led2.py", line 6, in <module>
GPIO.setup(port, GPIO.OUT)
RuntimeError: Cannot determine SOC peripheral base address

「Cannot determine SOC peripheral base address」は、訳すと「SOC ペリフェラルベースアドレスを決定できません」です。

　回避策は、rpi-lgpioライブラリをインストールするようです。

$ pip install --break-system-packages rpi-lgpio
Defaulting to user installation because normal site-packages is not writeable
Looking in indexes: https://pypi.org/simple, https://www.piwheels.org/simple
Collecting rpi-lgpio
WARNING: Retrying (Retry(total=4, connect=None, read=None, redirect=None, status=None)) after connection broken by 'ProtocolError('Connection aborted.', RemoteDisconnected('Remote end closed connection without response'))': /simple/rpi-lgpio/rpi_lgpio-0.4-py3-none-any.whl
Using cached https://www.piwheels.org/simple/rpi-lgpio/rpi_lgpio-0.4-py3-none-any.whl (11 kB)
Installing collected packages: rpi-lgpio
Successfully installed rpi-lgpio-0.4

　再度Lチカを実行すると、動作しました。

$ python led2.py

　RPi.GPIOは、継続したサポートが得られないという話が散見されます。真偽のほどはわかりません。新規にGPIOのアクセスするプログラムには使わないほうがよいようです。

●GPIOのpythonライブラリ-pigpio...使えなくなりました

$ pip list | grep pigpio
pigpio 1.78

　pigpioは、割り込み処理などの記述が行えるGPIOアクセス・ライブラリです。インストールされていることはわかりましたが、ラズパイ5では使えなくなったようです。

　　pigpio will not run on a Pi 5 #589

●GPIOのpythonライブラリ-gpiozero...推奨されています

　ドキュメントの GPIO in Python では、Using the GPIO Zero library makes it easy to control GPIO devices with Python と書かれています。gpiozeroライブラリは比較的新しく、初期バージョンはRelease 0.2.0 (2015-09-21)です。執筆時点では、Release 2.0.1 (2024-02-15)が最新です。ひとつ前のRelease 2.0 (2023-09-12)で、ラズパイ5のサポートが追加されています。

$ pip list | grep gpiozero
gpiozero 2.0

　サンプル・プログラムです。

from gpiozero import LED
from time import sleep

led = LED(26)

while True:
led.on()
sleep(1)
led.off()
sleep(1)

　問題なくLチカが動作します。

　本Webでは、連載「gpiozeroライブラリ入門」を、2020年11月15日から行っています。