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電流プローブ入門 その4 普通のトランスのとなりにSW電源

スイッチング電源はAC100Vの電源を汚しているのか

 高調波電流規制対応であろうがなかろうがスイッチング電源のAC100Vのすぐの場所を見ると、電流の波形が異常な形をしていました。家の中はスイッチング電源だらけです。となりの電子機器に影響を与えているのでしょうか。

AC100V電源単独

  検証するため、トランス、整流回路のDC出力側に電流プローブをつないでスペクトルをみました。

 20kHz帯域です。窓関数は矩形です。

 31MHzです。

同じテーブル・タップにスイッチング電源24V(1Aを流した状態)を接続

 AC100Vが共通の状態で、トランスの電源の整流出力を見ています。AC100V家庭用の壁コンセントからつないでいます。

 20kHzです。

 31MHzです。

 ノーズが多い2MHz帯域で比較します。差がないことがわかります。スイッチング電源の発振周波数のスペクトルを除いて、隣のスイッチング電源の電流ノイズは伝わっていないと思われます。

 AC100Vラインのインピーダンスが低いのが理由かもしれません。

●インバータ出力にスイッチング電源24V(1Aを流した状態)を接続

 電源ラインのインピーダンスが低くない場合はどうでしょうか。AC100V出力のインバータに二つの電源のACコンセントをつなぎます。見ているのはトランスを使った電源の出力です。トランスを使った電源では50Ωの負荷をつないで電流を流し、スイッチング電源は1Aの電流を流しています。

 AC100Vインバータの出力インピーダンスは、家庭用AC100Vよりインピーダンスが高いと思われます。測定結果から、ノイズを発生するスイッチング電源の1次側を通してもう一つの電源にノイズを伝わっていることがわかります。

 一般家庭のAC100Vは複数の契約者が柱上トランスを共有していますが、余裕のある電流容量が確保されていて、インピーダンスは低いと思われます。しかし、何らかの理由でインピーダンスが高くなる状態が起これば、ノイズは電子機器同士に影響が出ると思われます。

 家庭内では壁のコンセントから長い距離をテーブル・タップで引き回せば、そういう状態になるかもしれません。また、300円程度で市販されている充電用AC電源の1次側にはコモン・モード・フィルタは入っていません。そういうノイズをAC100V出しやすい製品を使わないようにするか、コモン・モード・フィルタをそれぞれの電源に追加するのがよいようです。

 もしもの事故(発火、発煙)が起こると困る部分には、CE(ヨーロッパ)、PSE(日本)のように自己申告でマークを付けられる製品ではなく、UL(アメリカ)のように、試験に通った結果マークが付けられている製品を選ぶべきでしょう。

電流プローブ入門

(1) オシロスコープで電流値を読み取る準備

(2) 電流波形がすごいことになっている

(3) 普通のトランス

(4) 普通のトランスのとなりにSW電源