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初心者が知っておきたいDMM ディジタル・マルチメータと測定 (2)

LED点灯回路の電圧と電流を測る

 電気は目で見えませんが、テスタを使えば電圧や電流を測って、回路が正しく働いているかを確かめられます。

回路図と実際の回路の組み立て

 はんだ付けでパーツをつなげて完成させます。まず、LED点灯の回路図です。電子工作の書籍には必ず出てくる回路です。どうやってこの回路を設計したかは別のところで行います。ここの目的は、テスタの使い方です。

LED01a.png 回路図だと、暗黙の了解があって配線がそのままできないので、配線に適した回路図(配線図)に直します。

lED01h1.png

 暗黙の了解というのは、電源部分です。回路図では、回路で使う電源はVCCとGNDと書かれていて、実際に結線されていません。この回路では電源は1系統しかないので、電源につないだ配線図も複雑ではありません。通常の回路は2系統、3系統の電源を使うので、それを回路図のなかに全部結線して描くと、すごく見づらくなります。

 配線図に合わせてパーツを用意します。

haisen2a.png

各パーツの準備

電池ボックスの準備

 単四3本が直列につながって、赤と黒のリード線が出ています。赤色のリード線がプラスです。はんだ付けができるように、被覆をむきます。

denchi100a.png
 (1) 最初の状態
 (2) ワイヤ・ストリッパで被覆を約1cmむきます。
 (3) ねじります。
 (4) はんだを流します。はんだメッキするといいます。

配線を始める
 平ラグ板に電池ボックスのリード線をからげます。

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 トグル・スイッチをはんだ付けします。スズ・メッキ線で端子同士をつなげ、はんだを流します。

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 配線図を見ながら部品を取り付け、はんだ付けします。

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 電池を電池ボックスに入れ、LEDがスイッチを入れると点灯することを確認します。

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どこを測るかを決める

 普通テスタは1台です。本当は、次の図のように4台あったらいいなー、と思いますが、なかなかかないません。

 LEDを流れる電流は抵抗を流れる電流と同じですので、回路のどこを切り取っても同じ値のはずです。

 電圧は1台のテスタがあれば順に測っていけばよいので、電流を測るのと合わせてテスタは合計2台あれば足ります。

 もう少しにつめます。

 抵抗の両端の電圧を測れば、オームの法則から、抵抗に流れる電流が計算できます。やりましたね。これでテスタ1台あれば何でも測れます!

lED02b.png

実際に電圧を測る

 1.5V × 3 = 4.5V

 直列につながった電池の合計を測ります。アルカリ電池は1.5Vといわれますが、新品なので少し高めの電圧4.8Vが出ています。電池は、使っていくとだらだらと電圧が下がります。

21.png

 抵抗の両端の電圧は2.87Vです。抵抗は1kΩです。オームの法則から、電流を算出します。

  I = E / R  (I;電流、E;電圧、R;抵抗)
 2.87 / 1k = 2.87 mA

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 LEDの両端の電圧を測りました。4.8-2.87=1.93Vなので、計算値と実測値はほぼ同じです。

23.png

コラム 皮むきする三つの方法

 ビニール被覆線の外皮をむく作業をします。道具に最適なのはワイヤ・ストリッパです。

cut01.png

 (1) ビニール被覆線を挿し込む
 (2) 握り部分を握っていく
 (3) さらに握ると、被覆がむける。より線の1本が破断した
 (4) 先端の部分に被覆が残っているほうが良いという説がある
 (5) ねじる。この後はんだメッキをする

cut01a.png

ニッパでも皮はむける

 ニッパでほんの少し力を加えて、被覆に刃が食い込むようにします。ビニール線を固定しニッパを30度ほど何度か回転させます。ニッパを先端方向に動かすと、皮がむけます。

cut2.png

 被覆の厚さや材料によって、刃の食い込む度合いが異なるので、手加減しながら、皮をむきます。刃が食い込みすぎると、中の銅線が破断します。1,2本切れても問題なしとします。破断した細い銅線は探して集めます。瓶のふたなどにそれらを集めておきます。

ナイフでもできるが

 刃を被覆に少し食い込ませ、線材を回転させます。

cut1.png

 なかなかうまくできません。慣れが必要です。ダンボールを敷いたうえで転がすとやりやすいです。

(2016/09/07)もう一つのワイヤ・ストリッパ

 細めのワイヤの皮向きには、次の写真のワイヤ・ストリッパが適しています。価格も安価です。アマゾン

バックグラウンド

ビニール被覆線;電子工作の配線では、表面が絶縁されているビニール被覆線を利用します。ビニール線とかビニル線と省略して呼ぶことがあります。園芸用などでは鉄線に塩化ビニルなどのプラスチックを被覆したのもビニール被覆線と呼ぶので、ビニール被覆線と呼べば区別できます。

 UL規格(人命・財産を保護するための安全規格開発、研究、試験、検査を行っているアメリカ保険業者安全試験所が策定する製品安全規格)などに準拠している・いないなど、材料や厚みは様々です。規格では絶縁耐圧や耐熱温度が主に決められていて、ものによっては耐圧30Vとか大変低めがあります。でも、ほとんどはそれでOKです。    

 配線時に使う導線にはビニール被覆線以外にエナメル線があります。この呼び方は理科教材では有名ですが現代では使われません。銅線に薄い樹脂の絶縁膜が塗布されたのは、UEW線、ホルマル線などと呼ばれます。エナメル線との違いは、はんだ付けの際に、はんだゴテの熱で被覆がはがれるのではんだ付けの前に物理的に絶縁膜を除去しなくてよい点です。
 実際は、紙やすりで絶縁膜をこすり銅をむき出しにしたほうが、はんだ付けはうまくいきます。

スズ・メッキ線;銅線は空気中で酸化しやすいです。表面が酸化するとはんだ付けはうまくできません。酸化しずらいスズをメッキしたのがスズ・メッキ線です。スズは、はんだの成分の一つでもあるので、はんだ付けはしやすいです。
 直径はいろいろあり使い分けます。抵抗やコンデンサの余分なリード線はニッパで切った後、保存して、スズ・メッキ線の代わりに使います。リード線は鉄線を使ったものもありますが、こだわる人は磁石を使って選別し、銅線だけを使います。
 見た目が同じものに「はんだメッキ線」がありますが、ここ10年ほど見かけません。

連載メニュー 初心者が知っておきたいDMM ディジタル・マルチメータと測定

(1) 電子工作で最初に購入する測定器はテスタ

(2) LED点灯回路の電圧と電流を測る

(3) LEDの光り方を変える方法を探る その1 抵抗値を変える

(4) LEDの光り方を変える方法を探る その2 電源電圧を変える