初心者が知っておきたいDMM ディジタル・マルチメータと測定 (5)
■LEDの光り方を変える方法を探る その3
LED 1個だと20mA以上電流を流しても明るさは増えませんでした。では、LEDを2個にしましょう。次の写真は、LEDの内部で複数個つながっているLEDです。合計として光量が取れればいいという発想です。
●LEDを2個つなぐ方法
直列と並列につなぐ方法があります。それぞれの利点や欠点がわかれば、直列と並列の組み合わせもトライできます。
(a) LEDを直列に追加していく LEDの順方向降下電圧(順方向電圧、順電圧とも表現される) Vf が約1.8Vとすれば2個で3.6Vになるため、抵抗の電圧降下分を足せば電源電圧Vccは5V以上必要です。白色のVfは約3.0Vですから、2個で6Vになるため、電源電圧は5Vでは足りません。 したがって、直列にLEDをつなぐためには、電源電圧は高めが必要です。 (b) LEDを並列に、抵抗は1個 電源電圧は(a)に比べて低くて済みます。この回路は実際には使われません。それは、LEDがそれぞれ同じ性能でないため、流れる電流が異なります。どちらかのLEDに過剰な電流が流れるおそれがあるというのが欠点です。電流制限抵抗が過剰になる電流を制限できないと、LEDの電流は流れ過ぎて破壊されたり、発熱が多くなって寿命が短くなります。 (c) LEDを並列に、電流制限抵抗をLED1個につき一つ入れる これであれば、LEDのばらつきを吸収できます。しかし、抵抗の数と配線の量が増えます。 |
(a) LEDを直列に追加していく
Vfが1.8Vとして2個で3.6V、電源を5Vとすれば、抵抗の両端は1.4Vです。オームの法則から、電流を20mA流すには700Ωです。680Ωが一番近い値ですが、電流を少なくなるほうにしたいので、820Ωもしくは1kΩにします。
白色のLEDではVfが3.0V、2個で6.0Vです。電源は12Vを使うことにします。LED 3個でもOKです。白色LEDを2個直列にして使う場合の抵抗の計算をします。
◆LED 2個
抵抗の両端の電圧は12 - 6 = 6Vです。20mA流すとします。オームの法則から300Ωです。330Ωが適当です。
◆LED 3個
抵抗の両端の電圧は12 - 9 = 3Vです。20mA流すとします。オームの法則から150Ωです。
(b) LEDを並列に、抵抗は1個
Vfが1.8V、電源を5Vとすれば、抵抗の両端は3.2V。電流をLED1個当たり20mA流すと合計40mAです。オームの法則から80Ω。82Ωが一番近い値ですが、電流を少なくなるほうにしたいので100Ωにします。
白色LEDの場合を考えます。電源を5Vとすれば、抵抗の両端は2.0Vです。電流をLED1個当たり20mA流すと合計40mAです。オームの法則から50Ω。47Ωが一番近い値ですが、電流を少なくなるほうにしたいので56Ωにします。
赤色のLED(Vf=1.8V)をそれぞれ20個用意し、10ペアをランダムに作り、測定します。
測定結果です。単位はmAです。大きく電流値がばらつく例がありました。
14.1 | 13.3 | 8.2 | 13.1 | 12.8 | 14.1 | 14.1 | 12.7 | 13.8 | 13.1 |
14.6 | 15.7 | 20.5 | 15.8 | 16.0 | 14.7 | 14.7 | 16.4 | 15.1 | 16.1 |
(c) LEDを並列。ただし電流制限抵抗をLED1個につき一つ入れる
Vfが1.8V、電源を5Vとすれば、抵抗の両端は3.2V。電流をLED1個当たり20mA流します。オームの法則から160Ωなので220Ωにします。
白色LEDの場合を考えます。電源を5Vとすれば、抵抗の両端は2.0V。電流をLED1個当たり20mA流します。オームの法則から100Ωを使います。
赤色のLED(Vf=1.8V)をそれぞれ20個用意し、10ペアをランダムに作り、測定します。
測定結果です。単位はmAです。電流値がほとんど一致しました。
13.2 | 13.2 | 13.2 | 13.2 | 13.2 | 13.2 | 13.2 | 13.1 | 13.2 | 13.2 |
13.4 | 13.3 | 13.4 | 13.4 | 13.4 | 13.4 | 13.4 | 13.3 | 13.3 | 13.3 |