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何度も使えるヒューズ---ポリスイッチの特性を測る

電子工作には欠かせないヒューズ

 実験をしていると、誤配線や設定ミスで過電流を流してしまい部品を壊すことがあります。

 実験用電源には、最大電流を設定できる製品があり、過剰に電流を流せないようにして安全に実験をすることができます。

 ヒューズは、家電などを含めてAC100V側に入っていて、回路がある2次側に何らかの問題が起こり過大な電流が流れると切れます。それによって、装置全体の発熱や発煙を防ぐことができます。車などでは、低圧用の専用のヒューズが使われます。

 ヒューズには、速断用など特別な仕様の製品がありますが、通常のガラス管に入ったものでも、過剰な電流が流れると瞬間に切れます。

何度も繰り返して使えるヒューズ

 呼び名が幾通りもあります。

  • リセッタブル・ヒューズ
  • ポリヒューズ
  • ポリスイッチ
  • PTC(Positive Temperature Coefficient)

 製品に規定された電流以上が流れると、電流を抑制し、回路を保護します。過電流が流れなくなると、復活します。このデバイスは、電源と回路の間に挿入して使います。

 耐圧、遮断する電流によってたくさんの品種があります。

耐圧60V、電流0.5Aのデバイスを測る


 次の構成で測定しました。最初に、1A以上の負荷電流を流そうとしましたが、5V時1.08A以上流せませんでした。この数値が、仕様にあるトリップ電流のようです。

 スタート時に970mA流し、約10秒おきに電圧と電流を測りました。トリップ電流を超えている状態では、だんだん電流が減少しているので、負荷のデバイスが破壊される確率が減少します。

5V

 実験用電源の電圧が5Vのとき、電流を徐々に増やして測定をした結果です。デバイスは電流によって発熱するので、冷えた状態からいきなり0.5Aを流したときとは異なる値になると思われます。

 負荷電流を増やすと、しだいに電圧が下がっていきます。抵抗が入っているのと同じです。もし、USB機器などをつないでいるなら、約4.7V以下になると正常に動作しなくなる機器があるので、200mA程度までしか使えません。LDOのレギュレータが入っている3.3Vで動作するマイコンなどでは、900mA程度まで流せることになります。

 測定時、1次側の安定化電源の電圧も負荷電流の増加に従って低下しています。最初は5.05V、950mA流れたときには4.73Vでした。

3.3V

 電源電圧が3.3Vのときの測定例です。負荷電流をたくさん流す設定をしましたが、最大770mA以上流れませんでした。

 測定時、1次側の安定化電源の電圧も負荷電流の増加に従って低下しています。最初は3.31V、750mA流れたときには3.02Vでした。

 実験ではサンプルは一つです。なので、当然バラツキがあります。利用する電圧で一度測定しておくことが大切です。負荷電流を少し流した後、電圧が復活した様子は、このデバイスだけの特性かもしれません。

測定器

電源;菊水電子Model PA-B 32-2

電子負荷;菊水電子Model PLZ72W

電圧計;keysight 34461A、DER EE DE-232C

電流計;岩崎通信機VOAC7602

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