電源のノイズを観測する (2) リプル・フィルタを入れると

アナログ電源もノイズまみれ

 電源には、アナログとディジタルがあります。ディジタルは、スイッチング電源とかDC-DCコンバータと呼ばれる電源の総称です。スイッチング電源はノイズが多いといわれますが、アナログ電源では実現できない小型で大電流を流せるので、現在主流です。

 電子工作では1A程度の電流を扱うので、アナログ電源でも比較的簡単に作れます。

 前回、実験用電源(アナログ)でもノイズがあることを確認しました。ここでは、そのノイズを再確認し、低減する方法を探ります。

 

ノイズ・フロア

 測定環境を、前回と同じ状態にします。スペクトラム・アナライザTR4171を用い、50Ωの入力に何もつながない状態で、100Hz~100kHzの帯域を見ます。入力がないので、この装置の表示できる最小入力レベルを知ることができます。


条件

50Ω入力、HIGH SENSITIVITYをONして内蔵プリアンプを使う。入力アッテネータを0dBに。

画面最上部のレファレンス・レベルREFを-50dBmに、一つのマス目は10dB/div。

RBW(分解能帯域幅)300Hz、VBW (ビデオ・バンド幅)を10Hz。

マーカのMKRをON、Noise/HzをON。1Hzの雑音電力バンド幅で正規化された値が表示される。

 画面のマーカから、-164.7dBm/Hzという値がノイズ・フロアになります。ここより小さい信号はノイズに埋もれて観測できません。測定範囲を100Hz~1MHzと100Hz~10MHzに拡大します。

 

測定回路

 電子工作で使う回路の電源電圧は低くく、TR4171のDC入力耐圧は±100Vなので、直接つないで観測できますが、入力部は壊れやすいので、DCをコンデンサでカットし、50Ωの負荷抵抗をつなぎました。

 電源をつながないときの様子です。配線のケーブルが空中から降り注ぐコモン・モード・ノイズを受信しています。

◆100Hz~100kHz

◆100Hz~1MHz

◆100Hz~10MHz

●実験用電源 Model PAB 32-2

◆100Hz~100kHz

 12kHz付近までノイズが特に多いようです。100kHzまでの間は20dBmほど悪化しています。

◆100Hz~1MHz

 1MHzまでの間は10dBmほど悪化しています。

◆100Hz~10MHz

 高い周波数は、電源からのリード線にたくさんノイズが載っているようです。

簡単な回路だけど効果絶大リプル・フィルタ

 抵抗の定数は適切でないかもしれませんが、リプル・フィルタを実験用電源のつないでノイズを観測しました。入力電圧は5.5V、出力は3.5V、電流は約100mA流れています。リプル・フィルタは、AC100Vを整流した際に残っている50/60Hzや100/120Hzのリプル成分を除去する目的で使われます。

 6800uFは一般的な電解コンデンサ、220uFと1000uFはESRの低い導電性高分子アルミ固体電解コンデンサです。

◆100Hz~100kHz

 12kHz付近まであった実験用電源のノイズが消えました。100kHzまでのノイズ・フロアも一部10dB程度悪化した領域がありますが全体に低めです。

◆100Hz~1MHz

 1MHzまでの間は実験用電源に比べて約10dBmノイズが減少しています。

◆100Hz~10MHz

 1.3MHz以上では、リプル・フィルタの効果はないようです。

 C2にパラレルに0.1uFのセラミック・コンデンサを入れました。何も効果はないようです。

●フェライト・ビーズの効果を観測1 アモビーズ

 リプル・フィルタの入力に、アモビーズAB3x2x4.5Wを入れました。ビーズに通しただけなので1ターンです。

◆100Hz~100kHz

 入れる前と変わりません。

◆100Hz~1MHz

 飛び出している外来ノイズのレベルが少し下がっています。

◆100Hz~10MHz

 効果は見られません。

 リプル・フィルタの入力のグラウンド側にも、アモビーズAB3x2x4.5Wを入れました。ビーズは合計2個です。

◆100Hz~100kHz

 ケーブルに飛び込むノイズは少なくなりましたが、ノイズ・フロワが悪化しています。

◆100Hz~1MHz

 ノイズ・フロワが悪化した以外に特徴はないようです。

◆100Hz~10MHz

 特に変化はないようです。

 リプル・フィルタの出力に、同じくアモビーズAB3x2x4.5Wを入れました。ビーズは1個です。

◆100Hz~100kHz

 アモビーズを入れないときとほぼ同じです。

◆100Hz~1MHz

 アモビーズを入れた効果はないようです。

◆100Hz~10MHz

 効果はないようです。

●フェライト・ビーズの効果を観測2 ファインメット・ビーズ

 リプル・フィルタの出力に、ファインメット・ビーズFT-3AM B4ARを入れました。ビーズに通しただけなので1ターンです。

◆100Hz~100kHz

 効果はないようです。

◆100Hz~1MHz

 効果はないようです。

◆100Hz~10MHz

 効果はないようです。

村田製作所のコモン・モード・チョーク・フィルタ

 BNX002-01は、データシートによれば500kHzにおいて-40dBの減衰が得られます。

◆100Hz~100kHz

 効果はないようです。

◆100Hz~1MHz

 効果はないようです。 

◆100Hz~10MHz

 数dBm全体に減衰できているように見えますが、配線が増えたため、ピークのノイズは増えているようです。

コラム リプル・フィルタの出力インピーダンス

 200mΩでした。

電源のノイズを観測する

(1) エネループはグッドな電源

(2) リプル・フィルタを入れると

(3) リプル・フィルタの性能はトランジスタが影響するのか