速習レッスン Makersには欠かせないマルチ測定ツールAnalog Discovery2 (7) インピーダンス・アナライザ
■交流でコイル(L)、コンデンサ(C)、抵抗(R)を測る
テスタは直流で抵抗を測ります。周波数が高くなると、抵抗の値が変わります。コンデンサは、周波数が高くなるとコンデンサではなくなります。交流でLCRを測るのが、LCRメータもしくはインピーダンス・アナライザと呼ばれます。
●接続
テスタの抵抗レンジでは、抵抗の両端の電圧と抵抗に流れる電流を測って計算し求めた結果が表示されます。Analog Discovery2でインピーダンスを測るときも同じです。電流は抵抗を直列に入れてその両端の電圧を測れば計算できます。
- 交流信号 Wavegenで作成
- 電圧 Ch1で測る
- 電流 Ch2で、直列に入れた抵抗Rの電圧を測る
上記の三つをつなぐ方法に2通りあります。測定したいものをDUT(Device Under Test)といいます。
さらに、測りたいLCRにある程度の電流を流さないと正確にCh2の電圧が測れません。したがって、Rは複数の値を取り換えられるようにします。Rの値は次の表を目安にします。
抵抗R [Ω] | コンデンサ [F] | コイル [H] |
---|---|---|
1M | 100p | |
100k | 1n(1000p) | |
10k | 10n(10000p) | 1u |
1k | 1u | 10u |
100 | 10u | 100u |
10 | 100u | 10m |
この測定器の構成では発振器の出力をDUTに直接つなぐので、電源やアンプの出力インピーダンスは測れません。電源などのインピーダンスを測るためには、直流を切るトランスかコンデンサを入れます。
●測定
オシロスコープのプローブを流用し、上記の接続にすると、2線法と4線法の中間のような接続方法になります。2線法は誤差が出やすい測定法です。4線法のほうが誤差を少なくできますが、専用の接続箱を作らないと実現できません。
Rは100Ω、DUTに22uFの電解コンデンサを用意しました。測定結果を見ると、周波数が高くなると、インピーダンスは下がっていきます。60kHzからは逆にインピーダンスが上がります。この上昇している領域ではコンデンサではなくなります。
測定値 Ohm インピーダンス Z。Xsはシリアル。Z = R + jX Siemens アドミタンス Y。 Y = G + jB G;コンダクタンス、B;サセプタンス Quality Qファクタ。 Q = X / R Dissipation Dファクタ。 D(tanδ) = R / X
Henry Ls;シリーズ・インダクタンス、Lp;パラレス・インダクタンス Farad Cs;シリーズ・キャパシタンス、Cp;パラレル・キャパシタンス |
コラム LCR METER DE-5000
同じ22uFの電解コンデンサをDE-5000で測定しました。
100Hz 1kHz 10kHz 100kHz DE-5000 20.45uF 19.218uF 17.265uF Rs=0.894Ω Analog Discovery2 20.47uF 20.51uF 23.41uF Rs=1.615Ω
コラム OPEN/SHORT補正
ケーブルの長さなどで、測定値に誤差が増えるのを補正できます。Compensationのメニューから、それぞれの抵抗値で、
- OPEN補正の実行 DUTに何もつなげないで測定。
- SHORT補正の実行 測定端子をスズ・メッキ線で3重にぐるぐる巻きにしてショートして測定。
を行います。
本文で使っているR=100Ωの状態で、OPENとSHORT補正をしました。
補正後、再度22uFを測定しました。
※参考文献
OPEN/SHORT補正 http://literature.cdn.keysight.com/litweb/pdf/1A344.pdf
http://www.nfcorp.co.jp/members/hint/hint1.html
https://www.keysight.com/upload/cmc_upload/All/impedance_for_web_seminar.pdf