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タイマ555で学ぶオシロスコープの使い方 (2) PicoScope編 ② モノステーブル・マルチバイブレータ

 OPアンプを除けば、リニアICもしくはアナログICと呼ばれる中でひときわ目立って使われるのが555と呼ばれるICです。シグネティックスのNE555がオリジナルですが、多くの会社がセカンド・ソースになっています。もともとはバイポーラICでしたが、CMOS版も作られました。

一つだけパルスが出るモノステーブル・マルチバイブレータ

 C1とR1が動作のかなめです。

  • 電源が入る前、ディスチャージ出力7番はLowなので、C1は空っぽ
  • 電源が入るとリセット端子4番ピンがHighになり、QがLowになる
  • トリガ入力2番ピンはVccにプルアップされているのでHigh。スイッチでLowにすると、下のコンパレータがONになり、RSフリップフロップをSetする。QはHighになるので、出力端子3番はHighになる(タイマ・スタート)
  • /QはLowになるので、7番のディスチャージ出力はLowではなくなり、Vcc-R1経由でC1が充電が開始される
  • C1の電圧を上側のコンパレータが監視している。上側のコンパレータのマイナス端子が判断の基準電圧になる。ここは三つの5kΩを使ってVccを分割している。つまり、Vccの66.7%の電位以上になったら、上側のコンパレータの出力がONになり、RSフリップフロップはリセットされ、Qはlowになる。Qは出力3番につながっているので、タイマの動作は終了する

 Vccは、006P電池の約9Vを利用します。

ピン番号 機能 ピン番号 機能
1 GND 8 Vcc 電源4.5~16V
2 /Trigger トリガ入力 7 /Dischage ディスチャージ出力
3 Output 出力 6 Threshold スレッショルド入力
4 /Reset リセット入力 5 Control Voltage コントロール入力

 NE555内部は、機能ブロックを描いています。OPアンプの形をしたのがコンパレータ、四角いのがRSフリップフロップです。

オシロスコープの設定

 上記の動作を二つのプローブを使って観測します。チャネルA(1)は3番ピンの出力につなぎます。チャネルB(2)は刻々と電圧が変化する6番ピンにつなぎます。

 前回、プローブをx1からx10に変更しました。入力電圧が1/10になる設定です。どんなオシロスコープでも行うことですが、まず、チャネルAのプローブをx10、同じくチャネルBのプローブをx10に変更します。デフォルトはx1なので、そのまま使うと、画面には1/10の電圧が出ます。1/10の電圧を10倍して表示します。

 電圧(縦軸)が自動なのを、今回555の電源電圧Vccは約9Vなので、±10Vに変更します。

 今回の測定ができる準備ができました。

 トリガ(タクト・スイッチ)をかけます。チャネルAとBが重なっています。青色で表示されているチャネルBのスケール部分をマウスでクリックして上下に動かします。マス目のキリの良い場所で固定します。 

 二つの波形が少し重なります。チャネルBの電圧軸を±10Vから±20Vに変更します。

 

 波形がギザギザなので、デフォルトの8ビットから15ビットに変更します。

 チャネルAのパルス幅を測定しようと、測定結果の追加をクリックします。

 どうも繰り返し波形でないと正しく測れないようです。


 時間軸(横軸)のスケールを延ばして波形の動きを見やすくします。

 ワンショットのはずが、タクト・スイッチを押している時間によって波形の長さが変わっていますね。これは、想定外のことです。

ポイント

 オシロスコープは、ディジタル・タイプが出てきたころから、操作が複雑になったことにより、入力信号に対して自動(auto)で時間軸、電圧の設定は行える機能をもちます。けれど、見るべきターゲットの電圧などは、予測ができるので、マニュアルで設定したほうがよいと思います。

 時間軸は、画面に少しでも信号らしきものが表示されれば、拡大していけます。電子工作では2ms前後をデフォルトとしてもよいように思えます。

連載 タイマ555で学ぶオシロスコープの使い方

(1) PicoScope編 ① 準備

(2) PicoScope編 ② モノステーブル・マルチバイブレータ

(3) PicoScope編 ③ モノステーブル・マルチバイブレータの動作

(4) PicoScope編 ④ トリガ機能