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LTspiceでOPアンプの特性を調べてみる(4)コンデンサの役割 その1

プラス電源のみで動作する増幅回路のコンデンサの役割

入力コンデンサC1

 前回、発振を確認したのは次に示す回路で、プラス電源だけで動作させています。そのため、OPアンプのプラス入力端子に10kΩの抵抗2本で電源電圧を1/2に分圧した電圧を加えます。この電圧が交流信号の仮想GND電圧となります。
 C1の10μFのコンデンサは、発振器などの信号源の直流分を切り離すためのもので、単電源でOPアンプを動作させる場合必要になります。このコンデンサがあるため、10Hz以下の周波数でローカット・フィルタとして働くため低域の減衰が認められます。

位相をコントロールするコンデンサC2

 この回路では、高域であまりゲインが低下しないうちに位相が0度を超えて正帰還になり発振しています。発振周波数は不安定で、50kHzから800kHzくらいの間でその時の状況によって変化します。次に示すのは、55kHzで発振している出力波形をオシロスコープで記録したものです。

 この位相を補正するために負帰還抵抗R1に並行に100pFのコンデンサを挿入します。そのシミュレーション結果を次に示します。高域のゲインは低下して、位相が-360度を超えて正帰還になるときにはゲインが十分下がっていて回路の発振は認められません。

 オシロスコープで確認しても、シミュレーションの結果と同様に出力に発振波形は認められません。


 シミュレーションではコンデンサは3pFくらいから発振は停止しますが、手元のコンデンサで探したがあまり小さい容量のものが見つからず100pFのコンデンサで確認しました。
 次に示すように、フィードバック回路の10kΩの抵抗の横に100pFのセラミック・コンデンサを挿入しました。



 PCからWaveGene1.50で1kHzのサイン波を出力し、テスト回路の入力信号としました。
 青色のラインは入力信号のトレースで、黄色がOPアンプの出力の波形です。今回の回路は反転増幅器ですので、入力と出力の位相が180度ずれ反転しています。



 入力コンデンサC1は、この値が小さいとローカット・フィルタとして働きます。必要な帯域を再生できる容量にします。フィードバック回路に挿入したC2は高域のゲインを減少させるのであまり大きな値にできません。

出力コンデンサ
 このOPアンプは単電源で動作させているので、直流が重畳しています。そのためこの直流分をカットするためのコンデンサが必要となります。次回このコンデンサを追加して検討します。

(2016/6/17 V1.0)

<神崎康宏>

バックグラウンド

WaveGene;無償で使えるWindows用の発振器のソフトウェアです。正弦波以外にも方形波やノコギリ波なども出力でき、PCのオーディオ出力(USB-DACなども含む)以外にも、ファイルに保存できます。正弦波は、たいへんひずみが小さいのが特徴です。

セラミック・コンデンサ;小容量のコンデンサは高周波で使われることが多く、セラミック・コンデンサが使われてきました。オーディオ用には、マイカ(雲母)コンデンサが使われていた時期も長いですが、最近は入手性がよくありません。

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