初心者のためのLTspice入門 オームの法則を確認する(2).measコマンド
■抵抗に流れる電流と電圧の関係
前回、5kΩの抵抗に0Vから10V電圧を加えて、抵抗に流れる電流の大きさをシミュレーションして、次に示す結果を得ました。
グラフから読み取った電圧と電流の値は、次のように想定されます。
1/m=1/(1/1000)=1000=kとします。
電圧 [V] | 電流 [mA] | 電圧/電流 |
---|---|---|
0 | 0 | - |
1 | 0.2 | 5k |
2 | 0.4 | 5k |
3 | 0.6 | 5k |
4 | 0.8 | 5k |
5 | 1.0 | 5k |
6 | 1.2 | 5k |
7 | 1.4 | 5k |
8 | 1.6 | 5k |
9 | 1.8 | 5k |
10 | 2.0 | 5k |
電圧を電流で割った価が5000(5K)の一定の値になっています。
R;抵抗値、E;電圧、I;電流とすると、
R=E/I |
の関係が成り立つと想定されます。
グラフから読み取った値は正確な数値とは限りません。LTspiceはグラフから読み取る以外に、.measコマンドでシミュレーション時の電圧、電流の演算結果を調べる方法が用意されています。
最初の .measコマンドは、変数pr1にDC電圧が2VのときのR1に流れる電流をセットします。
次のコマンドは、変数pr2にDC電圧が2VのときVoの出力電圧の値をセットします。
次のコマンドで、pr3にはパラメータ変数の次のpr2/pr1の演算結果をセットします。
pr4、pr5、pr6はDC電圧が4Vのときの同様な計算を行った結果がセットされます。
pr7には、電圧が3Vのときの出力電圧VoをR1に流れる電流を除算した値がセットされます。
●実行結果
.measコマンドの実行結果はSPICE Error Logに記載されます。次に示すようにツールバーの
View>SPICE Error Log |
を選択すると、エラー・ログが表示されます。
●エラー・ログ
.measコマンドの実行結果は次のようになります。
pr1: i(r1)=0.0004 at 2 |
pr1 の測定値はFINDで指定された式 I(R1)の値が0.0004Aとなります。単位のA(アンペア)は省略されています。at 2で横軸の2Vの条件のシミュレーション結果であることが示されています。この結果はDCの指定があるので、DC Sweepの解析のときのみ処理が行われます。
pr2: v(vo)=2 at 2 |
ここでは、同様にVoが2VのときのVoの値がpr2に設定されます。結果は当然2になります。
pr3: pr2/pr1=5000 |
pr3はparamの指定を行いpr1とpr2の二つの変数によるpr2/pr1の演算結果をセットします。
pr4: i(r1)=0.0008 at 4 pr5: v(vo)=4 at 4 pr6: pr5/pr4=5000 |
同様な処理を4Vの時点についてpr4、pr5、pr6に処理の結果が格納されています。
pr7: v(vo)/i(r1)=5000 at 3 |
pr7にVoの値が3Vのときの(出力電圧)/(抵抗に流れる電流)の演算結果がセットされています。
今回は、DC Sweepと .measコマンドで抵抗に加わる電圧と電流の関係を調べました。次は抵抗の値を変えたときに同様な結果が得られるか .stepコマンドと .paramコマンドで確認します。
(2018/1/24 V1.0)
<神崎康宏>