初心者のためのLTspice 入門 オームの法則で回路に任意の電圧を作る(1)抵抗分割
■複数の抵抗で任意の電圧を得る
回路の中で、新たな電圧源が必要になる場合が多くあります。その場合、抵抗二つで簡単に、
(元の電圧)×(R1/(R2+R1)) |
の電圧を得ることができます。
電圧源をvoltageのV1、R1、R2の二つの抵抗用いて、新しい電圧を得る様子をLTspiceでシミュレートします。
LTspiceは、回路図からシミュレーションを行うための回路の接続状況を記載したSPICE Netlist を作成します。
●SPICE Netlist
LTspiceのSPICE Netlistは、メニュー・バーの、
View > SPICE Netlist |
を選択すると、その時点の回路図に従って作成されたSPICE Netlistが、次に示すように表示されます。
V1は電圧源のvoltage、R1、R2は抵抗の素子です。NC_01、NC_02はV1の端子につけられた番号です。NC_は未接続であることを示しています。NC_03、NC_04は抵抗R1の端子で、NC_05、NC_06はR2の端子の番号です。V1の欄のVは電圧値が入りますが、まだ未設定なのでシンボルと同じVになっています。R1、R2のRも同様で未設定なのでRのままです。
●デバイスや素子を接続すると
次に各デバイス、素子を配線で接続すると、NC_のついた端子の番号がノード番号に置き換わります。この時点ではまだGNDの設定を行っていません。
次に示すようにSPICE Netlistを表示すると、V1とR2のノードがN001、R2とR1のノードがN002、R1とV1のノードがN003となっています。
●GNDを指定する
電圧が基準の0Vとなる場所をGNDで示します。次に示すように回路図のGND位置を明示します。
SPICE Netlistを表示すると、GNDに設定したノードは0になります。
シミュレーションの設定は、次に示すようにDC Sweepのタグを選択し、1st Sourceにソース電源としてV1を設定し、スイープのタイプはリニア、電圧の開始値は0Vで10Vまで増加します。0.1V刻みで増加する設定としました。
V1のvoltageは何らかの電圧値を設定しておく必要があります。ここで設定された値はDC Sweepのシミュレーションには影響を与えませんが、何らかの値を設定しておかなければ、次に示すようなエラー・ログが表示されます。
unknown parameter “v”と電圧値を示すVが設定されていないエラーを示します。
必要な項目を設定すると、SPICE Netlistは次のようになります。
そのときのSPICE Netlistは、次のようになります。
●シミュレーションの実行結果
シミュレーションを行い、ノードn001とn002の電圧をグラフ表示しました。次に示すのがその結果です。
電源V1とR1を接続しているノードn001の電圧とR2とR1間のノードn002の電圧は、次の関係となっています。
n001 | n002 |
---|---|
10V | 4V |
5V | 2V |
この値は電源電圧がR1とR2の抵抗値の比で分割されていることを示しています。実際の回路の中では前後の回路が付加されます。また、抵抗の端子間の電圧を測定したときその影響の有無などを次回検討します。
(2018/2/19 V1.0)
<神崎康宏>