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初心者のためのLTspice 入門 シミュレーション結果を保存しその結果を利用する(5)waveファイルを有効利用

waveファイルの電圧変動の範囲

 電圧データをwaveファイルとして保存するときは、変動の上下限がプラス1Vからマイナス1Vの範囲のデータしか保存できません。この範囲を超えるデータは上下限の値(±1)に固定されてwaveファイルに保存されます。そのため、クリッピングされたデータとなります。
 ±1Vを超える電圧などの変動をwaveファイルに記録するためには、何らかの方法で電圧の変動の範囲を縮小する必要があります。

BVでシミュレーション結果に演算処理を加えられる

 BV(Arbitrary behavioral voltage source)は、各種の関数、演算が利用できて、いろいろな使い方ができます。その中で、今回は、waveファイルに保存するために、変動の範囲を±1Vの範囲内に抑えるために縮小する方法を検討します。
 BVの利用で、次に示すように出力電圧は、

  V=F(・・・)

 関数やほかの電圧源の出力、シミュレーション結果などの加減乗除の組み合わせで設定できます。

 V=F(・・・)の関数F(…)の部分に、次の式を代わりに設定します。

  V=V(out)/2

  
 V(out)は、シミュレーション結果で±1V以下に縮小が必要なwaveファイルに保存が必要な電圧データです。V(out)のピーク値が±2Vですので1/2にしています。
 本連載の3回目に、LTspiceのHelpにあるBVで利用できる関数、演算子の一覧表を載せてあるので参照してください。LTspiceのHelpからも参照できます。
   http://www.denshi.club/ltspice/2018/04/ltspice-3-1.html

LTspiceでのシミュレーション結果

 出力OUTをBVのB1で1/2にしました。そのため、V(out)は±2Vのピークの出力ですがB1により1/2に縮小された出力V(B1out)のピーク値は、waveファイルの保存範囲電圧±1Vを超えません。
 次の回路で、このB1の出力を .waveコマンド(ディレクティブ)を利用して V(B1out)をチャネル0に縮小したデータを保存しています。あわせてマイナス入力(in-)をチャネル1に、プラス入力(in+)をチャネル2に保存します。


 
 シミュレーションの結果を確認すると、次に示すように青のB1outの出力電圧は、outの電圧の1/2になっています。

 

waveファイルを信号源に利用する

 次に示すように、電圧源V1でwaveファイルのチャネル0で、±2Vの範囲で振れていたデータを1/2に除算して圧縮し保存したものを再現しています。
 B1のvoutは、V1のwaveファイルの電圧を2倍して下のデータの大きさに再現しています。

 

 BVでは、このように電圧源などの信号データに演算処理を加えることができます。BVでは、このほかに多くの種類の関数も利用できます。機会を見つけそれぞれ説明する予定です。
 waveファイルは複数のシミュレーション結果を保存し、ほかの回路などの入力信号として利用することもできます。waveファイルの処理について一区切りとします。


(2018/4/17 V1.0)

<神崎康宏>

初心者のためのLTspice入門 ◆オームの法則を確認する

(1) 抵抗の設定

(2) .measコマンド E/I=R

(3) .step .praramコマンド IR=E

(4) 電流源currentで過渡解析 I=E/R

◆オームの法則で回路に任意の電圧を作る

(1) 抵抗分割

(2) 抵抗分割で得た電圧に対する前後の回路の影響

(3) 抵抗分割で得た電圧に対する後回路の影響

(4) 電池の内部抵抗をシミュレーション

◆LTspiceXVIIはUNICODEに対応して日本語表示もできる

(1) LTspiceXVIIで日本語を表示

(2) 日本語表示をいろいろ試す

◆シミュレーション結果を保存しその結果を利用する

(1) WAVEファイルにする

(2) LTspiceで出力されるwaveファイルの保存先

(3) BVコンポーネントでいろいろな信号を作る

(4) waveファイルを電圧源として読み込む

(5) waveファイルを有効利用

◆AC電源から直流電源を作る

(1) ダイオードによる整流回路

(2) ダイオードによる半波整流回路に平滑回路を追加する

(3) ダイオードによる全波整流回路

(4) 全波整流回路のリプル

(5) レギュレータICを利用して±の安定化電源を作る

◆ダイオードの動作確認

(1) ダイオードのモデル