初心者のためのLTspice 入門 シミュレーション結果を保存しその結果を利用する(4)waveファイルを電圧源として読み込む
LTspiceは、シミュレーション結果の電圧変動などのデータをwaveファイルとして出力できます。また、LTspiceで作成したWaveファイルをメディア・プレーヤなどで再生して、前回示したように実際の音として再現できます。
一方、LTspiceのシミュレーションの電圧源の信号データとして、waveファイルを利用できます。次に示すように電圧源の電圧設定を、
wavefile= waveファイル名 |
で設定します。
ここでは、C:\Windows\mediaのフォルダにあったwaveファイルを音源にしています。
この他に、実際の音声を録音したwaveファイルも対象となりますが、今回は用意してありません。
●カレント・フォルダにmediaフォルダをコピー
mediaのフォルダを、回路図ファイルLTSO32010.ascが格納されているフォルダにコピーしています。回路図ファイルを呼び出した時点で、カレント・フォルダが回路図の格納されたフォルダとなります。
回路図ファイルの格納されたフォルダにコピーされたmediaフォルダ内のwaveファイルの指定は、次のように行います。
wavefile=media\Ring01.wav waveファイル名 |
このファイル名を変更するだけで、mediaフォルダの内のwaveファイルを読み込み、シミュレーションしてその波形を確認できます。
●waveファイルのチャネルの指定
通常の一般的なwaveファイルはモノラルで1チャネル、ステレオで左右の2チャネルとなります。また、LTspiceでシミュレーション結果を.waveディレクトリで作成し、ほかのLTspiceのシミュレーションの電圧源として利用する場合は、2チャネル以上のチャネルを設定できます。各チャネルに保存されるwaveファイルは、各測定点のシミュレーション結果となります。チャネル数の上限は65535となっていますが、実際にはそんなに測定点はないので無制限と同じです。
wavefile=wavefile名 channel=nnn |
最初のチャネル・ナンバは0で、指定がない場合は0チャネルとなります。
●waveファイルに保存するシミュレーション
次の、位相の異なる二つの正弦波の入力信号と入力信号を加算した出力信号の計三つの信号をwaveファイルに出力します。
●Waveファイルの再生はVoltage の電圧源コンポーネントを利用する
上記のシミュレーション結果を保存したwaveファイルを読み込み、保存されたシミュレーション結果を再現した結果を次に示します。
記録された波形はすべてピークが±1Vで、それ以上の値は±1の値でクリッピングされています。
波形を拡大すると次に示すように、緑のV(out)の波形は上限が±1Vでクリッピングされた波形になっているのがよくわかります。
outの±2V信号が±1Vでクリッピングされています。waveファイルに保存される信号の大きさは±1Vまでで、それ以上はクリッピングされます。これを避けるためには、信号の大きさを±1V以内に収めるか、コンポーネントBVを使用して信号を縮小する方法があります。±1V以上となる条件でシミュレーションしたい場合もあるのでBVを利用する方法を次回考えます。
(2018/4/15 V1.0)
<神崎康宏>